小説

□腐る程の愛の言葉より、
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前だったら不機嫌そうに顔を歪め、胸倉を掴み罵声を浴びせられたのだが

「アスラン、貴様ともあろう者が言えないのか?」

ま、小馬鹿にする所は変わって無い

「そんな易々と言えるようなものじゃ無いだろ」

「俺でもか?」

「お前だからだ!」

ハッとした時既に遅し
ニヤリと笑みを浮かべたイザーク

「う、自惚れるなよ!」

「自惚れてなんかないさ」

なんか俺、さらっとイザークの思い通りになっていないか?
ここはイザークにも一発ぎゃふんと言わせないと気が済まない

胸倉を掴んで拳を向けても良いが、それじゃあ前の俺達と同じだし、だからと言って素直に愛の言葉とやらを口にしたら調子に乗るに違いない

ならば、とニヤニヤしっぱなしのイザークの胸倉を勢い良く掴んだ
ちょっと険しく眉を寄せた表情を睨み付け、ぐっと顔を近づけた


「――な、」

小さなリップ音を立てて、顔を離す
イザークがポカンと腑抜けな声を出した事に少しだけ気分が良くなった

「言葉だけじゃ伝わらないものもあるんだ。この馬鹿野郎」

白い軍服を掴んでいた手を離す
そしてそのまま彼奴を残してその場を後にした
じゃないと赤面した顔を見られてしまうからな


腐る程の愛の言葉より、



一回のキスを


end.
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