小説

□腐る程の愛の言葉より、
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今更の事だが良く周りから口下手と言われる
と言うより今まで最低限の言葉で十分に伝わってきたから問題無かったのだけれど

しかし彼奴と居る時はそうもいかなくて

歳のお陰で少しだけ落ち着きは見せているのだが、昔からうるさかった所は未だに変わらず
そしてそんな俺達二人の間柄も前とは違って、恋人同士と言う関係になっている

俺の事を罵ってきた口からは甘ったるい台詞が飛び出すようになった
それも真面目な表情で言われるものだからいつも対応に困る
まぁ、容姿も声質も良いから様になるのだけど

その後の「貴様はどうなんだ」って、やっぱり困る
“どうなんだ”って何だよ
嫌いだったら一緒に側に居る訳無いだろ!って言い返したのに「そんな事は分かっている」と一言

じゃあ聞くなよ!

彼奴が何を俺から聞きたいのか分かっている
だが、そう簡単には言ってあげない
そんな俺の意地っ張りな所は昔から変わってない
直さなきゃな、と思うんだが…

でもそんなに毎回彼奴も言わなくても良いだろうに
そう、嫌味のように毎回言ってくる
それに一番困っているのだ

あ…ほら、噂したら来た
俺の目の前まで来た彼奴の第一声は決まっている

「アスラン、好きだ。愛している」

ほらな

恥ずかし気も無く伝えてくれるのは嬉しいけど限度ってのがある
毎回赤くなる自分もどうなんだろう

「いつもいつも飽きないな」

「可愛げない口だな。だが、そんな所も可愛いぞ」

爽やかな笑顔で俺の文句を流す
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