小説
□感謝を込めて
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「…可愛い」
弁解の言葉で無く、ただするりと出てきた言葉にイザークは頬を染め、アスランは驚いたように顔を上げた
その顔もほんのりとメイクされていて
恥ずかしそうに、けれど嬉しそうに微笑んだアスランにもう一度、可愛いと呟いた
「……やっぱり我慢できんな」
「?」
イザークの中で計画が狂ってしまった
本当は今日この後、他愛も無い話をしながら食事、買い物等する筈だったのだ
そしてロマンチックに夕暮れ時にアスランへちゃんと告白をするつもりだった
わざわざ、同僚達に合わないよう無理矢理この水曜日に休みを貰ったと言うのに
きょとんとするアスランの両肩をがっしり掴むと、そのすべすべしているだろう頬に唇を軽く押し付けた
「!?」
途端に真っ赤になったアスラン
「好きだ」
告白の時に言う筈だった長ったらしい言葉では無く、たったの三文字
そしてその身体をイザークは優しく抱き締めた
おずおずと背中に回されたアスランの手に、もう一度「好きだ」と耳元で囁いた
「アスラン、敬語禁止な」
「う、うん…」
「じゃあ敬語使ったらアスランからキスな。あ、あの日の帰り際にトリートメント券を渡した時から俺はタメ口だったがアスランは後の電話でも敬語だったから…キスだな?」
「えぇ!」