小説
□ハピネス
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「朝からうるさいぞ。近所迷惑だ!」
両耳を塞ぐアスランは負けじと言い返す
「貴様がそうさせているんだッ」
ズンズンと近付いてアスランからエプロンを剥ぎ取るとすぐさま身に着ける
鍋を覗き込めば、トマトベースのスープの中にもうロールキャベツは浮かんでいた
ほとんど完成である
「…何時に起きた」
「えーと、一時間前ぐらい…かな?」
他の料理は出来ないくせにロールキャベツだけは手際良い
思わず舌打ちをした
「そんなに怒る事か?」
「当たり前だ!今日は貴様の誕生日だから俺が作らないと意味が無いだろう!?」
奪い取ったオタマでスープを味見………美味過ぎる
そのままオタマを置いたイザークは、ふらりと覚束無い足取りでリビングへ向かい、ででん!と構えているマッサージチェアーに腰を下ろした
その後をアスランも追っていた
はあぁー…と重く、細く長い吐息がイザークの唇から零れ出る
想像以上に落胆しているイザークへアスランは近付く…のかと思ったが、素通り
ますますイザークが落ち込んだ
ふわん、と良い香りがイザークの鼻をくすぐる