小説

□ハピネス
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――ぽすん
それが膝に落とされた事により、一層香りが強くなる


それは真っ赤に咲き誇る見事な薔薇の花束で…

イザークの眉間に皺が深くなった
今日はアスランの誕生日だ。きっと誰かに贈られて来たのであろうその花束に、プレゼントを渡すのを誰かに先に越されたという不快感と嫉妬満載の低い声で問う

「誰から貰った」

「自分で買った」

間髪入れずにアスランが答える
イザークは「はぁ?」と彼を見上げた

「花束が欲しかったなら前もって言え。俺が買ってきてやる」

何を自分の誕生日に惨めな事を…と呆れるイザークの頭頂部にチョップが入った

「馬鹿野郎!これは母上に差し上げるものだッ!」

「い、痛…」

痛みで痺れる頭皮を撫でながらイザークは再び見上げた。アスランの瞳が潤んでいる

「インターネットで“誕生日”って調べたら、その日まで生きてきたということについて産み育ててくれた親や周りの人に感謝を表す日…だと載ってたんだ」

「何故、誕生日ってワードを調べたんだ」

「…なんとなく」

アスランは花束をイザークの膝から拾い取る
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