小説
□天国に行けなくなったら
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「…TVでこのガラスの事を特集してたのを見てさ、なんかイザークに見せたくて」
思い掛けないアスランの告白に目を見開いた
「その、青い瞳に似てたから」
この教会の外に設置されていた街灯の光によって、ステンドグラスが薄闇の中でも綺麗に写し出されている
青色をベースに、白、黄色や水色といったガラスが均等に配置され、何とも言えない模様を表していた
「綺麗だろ?自分自身では分からないだろうけど、同じぐらいにイザークの瞳も綺麗なんだ。俺にはそう写ってる」
翡翠の瞳が光を反射してキラキラと煌めく
アスランはステンドグラスを見て、俺の瞳を連想したと言う
居ない神に対し、さっきまで少し嫉妬をしていた俺が恥ずかしかった
「……まぁ…たまには、良いかもな」
冷たくなっていたアスランの両手をそっと握り込む
「神を信じてみても」
はあ…と息を吐き出し、アスランの手をさすって暖めてやる
「イザークが神を信じるのか?」
「なんだ、信じないのか?」
うーん、とアスランが考え込む
その姿が幼く見えて、同時に愛しいと感じた
「神の祝福を…」
何かの儀式のように、そう囁きながらアスランの額にゆっくりと唇を押し付ける
「イザークって、神に仕える使者みたいだな」
アスランの照れて赤く染まった頬にステンドグラスの柔らかな光が降り注いでいた
end.
title by 空想アリア様