小説
□哀れなトリオ
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ピンと張った糸のように強張った身体は幾度か痙攣をし、白いシーツの波にぐったりと沈み込んだ
後ろではイザークが荒く息を吐き出し、サイドテーブルに置いてあったペットボトルの中身を飲み干していた
恋人との甘い夜の時間を共有するのは好き。しかし今日何度目かになる(もう数えたくない)この行為に俺の身体は悲鳴を上げていた
もう甘い夜なんかじゃなくて、俺にとっては辛い夜だ
下半身が馬鹿みたいになっているが、今の内に逃げなければ…と匍匐前進(ほふくぜんしん)でベッドの端へ移動する
だが、足を掴まれ、それ以上進む事が出来なかった
「何処に行く」
まだ終わってない、と言うかのように掴んでいたその手でそのまま俺の太腿を触りだした
(こいつの性欲はどうなってんだッ!)
力の入りきれない足をイザークの腹へ向けて蹴ったのに、伊達に割れてない腹筋を持つ彼はビクともしなかった。ただ眉だけがピクリと動いた
「何する…」
「…なにする、て…コッチのセリフだ!」
散々喘いだ自分の喉は惨めかな、声が掠れすぎていた
「何って…ナニだ!」
(偉そうにしやがって)