小説
□ふいうち
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さっさと渡してしまえ。と頭の中で何度も繰り返す
そしてアイツの部屋の前
ブザーを鳴らすが、中から反応は無し
「…チッ」
面倒くさいな
早く渡してしまいたいのに肝心の本人が出て来ない
変わりに誰かに託して渡して貰おうか…とも考えたが、こういう事は受けた自分がきっちりと責任を持ってしなければならない。そんな自分の性格がまた恨めしい
「おい、入るぞ!」
ドアを隔てて一応そう一言告げると、ニコルに教えてもらっていたパスワードを入力してドアを開く
部屋は思っていたより明るかった
てっきり寝ているのかと思っていた予想は当たっていて、アスランは机に伏せていた。この様子だと、作業しながらつい寝てしまったようだ
一歩ずつ近付く。背後でドアが閉まる
「おい」
念の為に声をかけるが反応は無し
どんだけ爆睡してんだコイツ
その間抜け面を拝んでやろうと、ひょっこり顔を覗き込む
涎の一つぐらい垂らしていれば笑いものにしたのに案外普通の寝顔だった
「つまらん」
落書きぐらいしてやろうか
“アナタに運気有り。日頃出来ない事を積極的にやってみるべし。きっと良き方向へ道が開ける”
さっきの占いの内容が脳内に過ぎった