小説
□明日は晴れますように
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毎年この日になるとプラントの雰囲気は暗く、どんよりと落ちる。そして必ずその日の天候は、雨と設定されている
――プラント全体が泣いているようね
以前聞いた母上の言葉がふと頭の中に蘇る
この日の式典の為に俺達を乗せた艦はプラントへと帰ってきた。だが明日はまた宇宙(そと)へと出向する
久々の故郷だが、心は浮かばれない
窓から覗くプラントの街並みは今年も泣いていた
「あ、イザーク!アスラン見なかった?」
ラスティが俺に気付き、片手上げて駆け寄ってくる。奴の左手にはピンク色の小さな箱
俺の視線に気付いたのか、ラスティは肩を竦めて溜め息をついた
「貰うつもりなんて無いから断ったんだけどさ…」
「だが貰ってるじゃないか」
「要らないって言ったけど、受け取ってくれるだけでも…ってさ」
そんな気分じゃないのに…とラスティが窓の外を覗き込む
「やっぱ雨だねー…」
「で、アスランが何だ?彼奴ならラクス嬢と一緒に式典に出席するんじゃなかったか?」
「それが、今の自分はプラントを守る側として軍に身を置いてるから今年からもう式典には出席しないんだって」
「…そうか」
この時期になると、プラントは地球連合軍の動きを事細かく警戒する。まぁ連合軍の方も、プラントの動きに警戒しているようだが