時流の狭間

□序章
1ページ/1ページ

――自分のことは自分が一番よく知ってた。その頃も私はヴァリアー幹部補佐だった。


自分を評価するなら『扱いづらい女』この一言に尽きた。そしてそんな自分が面倒だった。


だって、性格キツいうえに妥協が嫌いとか、ついてこれる奴、いるわけないでしょう?


でもね、いつもその一歩先を行ってる人がいたのよ。大好きで、誰より尊敬してた。


アイツはその人の真逆だった。最初は当然大嫌いだった。あ、今でも好きかって聞かれたら嫌いって即答するけどね。


――でも、ね。アイツ本当に馬鹿だから。馬鹿なことばっかり普通に言うの。救い難いわよ、全く。


そして、一つ賭けをしたの。今もその真っ最中。アイツは待ってるって言ったわ。


でも多分、一生決着はつかないわね。…それでもきっとあの馬鹿は、ずっと待ち続けるのよ。


――私の心が振り向けられるのを、ずっと。





→next


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ