時流の狭間

□序章
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――まあ、まず間違いなく、先に惚れたのはウチのほうだったよ。


惚れたって言っても、アイツの技に、ね。ボクシングの技。それに惚れ込んじゃったんよ。


憧れた。とにかくそのセンスとか、色々。ボクシングしてるときが一番カッコ良かったかな。


それが恋に変わったのはいつだったっけ。本当に、ゆっくり自然に変わっていった。


でもな、愛に変わったのはいつからだかわかってるんよ。忘れられない、一瞬の事だったからね。


本当、死ぬかと思った。っていうか、死んだと思ったね。確かに瀬戸際だったらしい、その一瞬。


――でも、彼が生き返らせてくれた、その一瞬なんよ。





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