《約束》〜君といた夏〜第一部

□幼なじみ
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「うん…ヒック」
「けっこんの約束をこんやくって言うんだよ」
「こんやく?」
「そーだよ。こんやくしたら男の人は女の人にゆびわをプレゼントしなくちゃいけないんだよ?こんやくゆびわって言うんだって」
「こんにゃくゆびわぁ?そんなの持ってないよ…」
「バカ!!こんやくゆびわ!ゆ・び・わ!」
「ゆびわか!あっそーだ!ちょっと待ってて」
そう言って俺は絵理への指輪を持って戻った。

「なにそれ?」
「ゆびわ!…の代わりだよ。おっきくなったら本物を買ってあげるから今はこれでゆるして」

俺がそー言って差し出したのは親父の工具箱から持って来たナットだった。

「ありがと。すっごくうれしい!約束だよ?おっきくなったらちゃんとひでちゃんのお嫁さんにしてね!」
「うん、分かったよ」

絵理はナットを指にはめてうれしそうに見ていた。

俺は子供ながらに絵理のうれしそうな顔を見て、俺もうれしくなった。

そんないきさつだったが警察も刑務所も嘘いだと分かるのに一ヶ月もかかった。
親には思いっ切り笑われたが、そんな事を幼稚園児に分かるハズもなかった。
あの一ヶ月間は警察とか逮捕とかって言葉に反応してビクビクしながら過ごしたのだ。
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