《約束》〜君といた夏〜第一部

□俺の夢
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「どおして?ひでちゃんママじゃイヤ?」
「だって…それじゃひでちゃんと真樹ちゃんのママがいなくなっちゃうじゃない。ひでちゃんと真樹ちゃんがかわいそうだよ。だからいらないよ」
絵理は泣きながら答えた。
俺も半ベソかきながら
「ママ、ひでのママじゃなくなっちゃうの?」
「ごめんね…言い方が悪かったかな。絵理は優しい子だね」
お袋は四人を抱き寄せた。
「あなたたち四人のママよ」
お袋も泣いていた。

それからうちのお袋は絵理たちを本当の娘の様に接してきた。
よく一緒に怒られては泣いていた。
「絵理!ひで!妹を泣かせてなにやってるの!」
「コラッ!ひで!絵理!いたずらはやめなさい!」
「絵理!!やめなさい!」
「絵理!」「絵理!」
いたずら好きの絵理はよく怒られていた。

今思うと、ままごとが好きだったのも結婚の約束も…母親を亡くして寂しかったのかもしれない。

遠足等の弁当は二人とも同じ弁当を持って行き、食べるのも一緒だった。
運動会も同じ場所で同じ弁当を家族と食べた。

授業参観に絵理の母親がいなくても、うちのお袋が来ていたのでちっとも寂しそうには見えなかった。
絵理の作文『お母さん』はうちのお袋の事を書いていた。
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