sweet fever
□不器用な欠片
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君に言われた言葉が、
今でも僕の胸に残っているよ。
『優しいふりをして、幸せになってほしいって言う。
君が、私を幸せにする。と何故言えないの?』
口ごもる僕のもとから、
君は離れていった。
『────その一言があれば、私はヒョクチェのそばにいられるのに。』
確かにそうだね。
自分勝手な僕は、
君の幸せを願うふりをして本当は自分がしんどかっただけなんだ。
だからこの手から知らずに
君を落としたり、無くしたり、壊してしまう前に、
手を離そうと思ったんだよ。
でもこんな言い訳は、今更どうなるわけでもないね。
僕は自分で自分に忘れられない傷をつけたまま、
少しは大人になって余裕も持てたというのに。
君は必死にその時々を生きて、今では新たな光を手にしている。
ドンヘ。
────彼は君をとても大事にしてくれるだろ。
僕もよく知ってるんだ。
情けない僕と、
大違いだよ。
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