□捧げ物


□伝わる幸せ。
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気づけばキミに伝えてる


伝わる幸せ。



びゅわ
風が渡り廊下を吹き抜ける。
それに肩を震わせ歪めた顔をマフラーに埋める。
部活を始めてしまえば、温かくなるのだが、それまでが億劫である。


「さむ」


呟いても同じだ。
桜乃がいれば寒さも忘れるんだろうけど


向こう側から人が来る
楽しそうな雰囲気に顔をあげて確かめる――――



ガツン


この言葉がぴったりだろう。


「あ、リョーマくん!」
「おお、越前!!」

桜乃と多分桜乃のクラスの男子だろう
二人で楽しげに喋っていた。


「何してんの?」


一気にテンションが下がる、ああ、もう最悪。


「委員会の仕事してたんだよ」
「竜崎って意外と仕事できるんだよ」
「そんなに意外かな?」


そんな楽しそうに二人で会話しないでくれ!!


「へえ、そう、じゃあ委員会の仕事はもう終わったんだよね?」
「うん」
「じゃあ桜乃、俺の用事に付き合って。」
「うん、何するの?」
「職員室に提出しなきゃだめなものあるんだけど、それ」
「えと、じゃあ、私たちいくね」
「おう、竜崎また明日な」

笑顔で手を振ってあいつは部活へ行った。
でも、なんだろうか、心に残るもやもやは…


「リョーマくん?」
「あ、ごめん」


あいつに向けてた笑顔がムカつく
俺だけのなのに


くそ


.
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