はくしゅろぐ

□2011年、夏
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汗だくになって踊って、踊って、踊って。
耐え切れずに、せめて気分転換と稽古場の外に出たら

「あ………っづーーーーーー」

外は猛暑、八月の、真夏の。
コンクリの外階段には、まさにこの夏の日差しが照り付けている。


思わずしゃがみこんでしまった。
わしゃわしゃと聞こえる蝉の声が余計に温度をあげている。

これなら、みんなの熱気でもうほとんど用をなしていないクーラーのついた稽古場の方がマシだったかも?
もどったほうがましかも?

が、その真夏の外気のダメージが意外につよくて、しゃがんだまま立ち上がれないでいる。

ぱたりぱたりと、汗がコンクリに落ちる。
これはさっき稽古場でかいた汗なのか、今ふきでた汗なのか。
そしてその汗で濡れたコンクリが、もう乾こうとしているのを見て愕然としたところに

「?」

ぬっと、黒い影がその視界を覆った。

「スピ?」

見上げると、そこにいた。

この炎天下の中、ぼーっと立っている?
何してんの?と聞こうとしたら

「日陰っす」

「あー」

日陰、確かに。
今、しゃがみこむあたしの身体を、彼の影が覆っている。
太陽に色濃く反映されるその影で、落とした汗の影が見えなくなった。

また、見上げる。

何も言わず、やっぱりぼーっと立っているようにしか見えないけれど。

思わず口元がほころんだ。

そういえば、こんな風に誰かを見上げるなんて、去年まではなかったこと。
去年までは腕の中の彼女たちをやさしく見下ろして、

そういえば、こんな風に誰かを見上げるなんて、去年まではなかったこと。
みんなみんな、あたしを見上げてついてきてくれた、


木陰を作るのは、むしろ、あたしのほうだった。





夏がこんなに暑いなんて、去年まではしらなかった。
だから。

「……って、なんか増えてない?」

日陰が色濃くなって、また見上げたら、今度は見慣れた別の顔。

「あー!みんなでミズさん囲んで何してるんー?」
「あー、お前くるな、お前きても役に立たない」
「え?なに?なに?なにしてんの?」

ああ、確かに一番小さいカリーでは、ちょっと日陰にはならないか。
思わず笑う。

訳のわからないカリーがスピとダイキの間に割ってはいってくる。

「……つうかさ、かえって暑苦しいんだけど?」

この狭いスペースに大の男がよってたかって。
日陰にはなるけれど、

正直

「むさい!」
「あー!ミズさんひどっいすー!」
「はいはい、じゃあ稽古再開しよっかー!」
「え?暑苦しいって?むさいって?」



弱弱しい木々ではあったけれど。
暑苦しいと悪態をついたけれど。

それでも随分たくましくなったと、まぶしく彼らを見上げた。


やさしい木陰のもとで。
また立ち上がる力をもらって。

あたしはよいしょ、と立ち上がって、彼らの肩をかわるがわる叩いた。


「いこう!」








+++++++++++++
はい、よろずみずなつき取揃候に「がいずふろむじあーす」Mizが入荷しましたよー!(笑)


まさかガイズで書ける日がこようとは(笑)。


渋谷AXのライブで見た、彼らが本当に素敵だったのです。
ミズナツキのファンじゃなくて、Guys From The Earthのファンとして、声をはりあげてさけんでいました。

ずっと違和感があったのは、おそらく皆さん一緒だったと思うのですが。
一気に境目がなくなって、一気に彼らがいとおしくなってしまいした。


そういう集団を作り上げたミズナツキさんにも、惚れ直したなぁ……。


そんな夏を書き留めたくて、書いてみました。
どんどんカオスになる「てふてふ*」ですが、非常にらしいかな、と思います。



お読みいただきありがとうございました。

20110827

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