はくしゅろぐ

□雨の日の詩人営業中
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『やわらかな夜』




「水さん、やわらかあい〜」

洗い晒しのシーツ、洗い晒しの素肌で抱きしめる。

「ちょ、やわらかいって、そりゃ太ったけど!」

「ほら」

「ちょっと!へんなとこ触らないでよ!」

抗議をかき消すように、その頬に口づけると、あきらめたようにあきれたように、ふわんと笑った。

「もう……」

そう、その笑顔。

会う度に身体つきがやわらかくなるなぁと、思う。
あんなにはりつめていた糸がぱあんと切れて、何かがゆるんだような、
いっそはじけてどこかにいってしまったような。

以前より伸びた髪をすいて、その指先で頬の輪郭をなぞり、まろやかになった肩をなで、二の腕に指先を滑らせて、その先の手に指を絡める。

指先を絡めたまま、やわらかなふくらみに触れる。
ぴくりと反応してから、また、ふわんと笑った。

「となみ……」

そう、その笑顔。
その笑顔が一番やわらかい。

その笑顔もその声もその指も、
やさしくやわらかくわたしを誘う。

あまりにもやわらかくて、心配になってしまう。
このやわらかなひとのやわらかな部分が、傷ついてしまわないかと。

絡めた指先をほどいて、ぎゅうと抱きしめた。

そのやわらかさを守れるようにと 、ぎゅうと抱きしめた。

しばらくすると、水さんがそっとわたしの身体を離した。
そしてそのしなやかな指が私の髪をすいて、その指先で私の頬の輪郭をなぞり、私のむきだしの肩をなで、二の腕に指先を滑らせて、その先のわたしの手に指を絡める。

再び絡めたふたりの指先に、口づけを落として、まっすぐにこちらを見つめる。魅入る。


ああ、心配はいらないんだった。
そのまなざしの強さ。
この人は、やっぱり、こんなにも強い。


強くて、まっすぐで、しなやかで、やわらかで。
あたたかくて、やさしくて

私の大好きなひと。

その耳元でその言葉を伝えると

「となみ」

うれしそうに、くずれそうに、ふわんと笑った。



今まで一番、やさしくやわらかい夜を過ごしましょう。










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となみずです。
前にも言ったのですが、うちは語呂の良さからと精神面では…の判断から、みずとなではなく、となみず表記です。
が、今回はそっちの意味でもとなみず、と思ってもらってもいいです。
みずとな、でもいいです。
もう何でもいいです。セッソウという単語は「てふてふ*」には存在しませんから(笑)。

もちろん今でも「紅一点の男前」でもありますが、
退団後会う度に、どんどんきれいに、やわらかくなっていくなぁと思うのです。


そんなチカさんも、大好きです。


しかし最初は、となみが女体化したチカさんの身体を存分に味わうだけの設定だったんですが……(笑)




ちょこちょこ拍手、拍手コメントありがとうございます。
コメントをいただいていてお返事しないのはちょっと心苦しいのですが、しばらくはこのスタンスでいきたいと思います。
本当にどれも嬉しく読ませていただいていますので!



20110619
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