クラウザーは心あらずという感じに玉座に身を預けている。

カミュとジャギに魔力をもらい受けたため、さほど支障はきたしていたいがまだ本調子とは言えない。

あまりにクラウザーに条件良くされるため裏がありそうで後々面倒な事になりそうだ。

しかし今クラウザーが気を沈めているのはそういった類ではなかった。

クラウザー自身ここまで魔力を使って成し遂げるには、馬鹿な事をしたのではないかという後悔とは違う言葉にはできい思いに軽く頭を振る。

長い髪を怠そうにかきあげ目を閉じた。

難しくはないが面倒なクラウザーのお願いはジャギはどれぐらいで完了するだろうか。

それまでにもう少し力が欲しい。

多少のリスクを負っても天人の1人ぐらい喰いに行くか。

思わず舌なめずりをしてしまう自分に、クラウザーは本質なんて簡単には変わらないと苦笑した。

いくら人間に感化されたといっても基本的に生命維持には他者のエネルギーを奪った方が早い。

クラウザーは運動をしたせいではない重い腰を動かす気にならず、つらつら考え事をしていると行動を起こすのが面倒になってくる。

原因はそれだけではないのだが。

時間は有効に使うべきかとノロノロと立ち上がると館がかすかな音色で侵入者を知らせた。

クラウザーはニンマリと口元を歪め、立ち上がったついでにこの特殊な館に無断で入れる数少ない訪問者に近づく。

もっともクラウザーが拒めば無傷ではすまないが。

約束をしていたわけではないが訪れる気はしていた。

近くで絡み合った視線を外さずにクラウザーが手をのばす先にはカミュが憮然と立っている。

カミュはその手を払いのけクラウザーの腰を掴んだ。

クラウザーは肩をすくめただけでカミュに身を任せてしまう。

「今貴様にやれるのはこの身と館ぐらいだ」

カミュの肩に頭を乗せ誘うように囁いた。

その誘いに乗るようにその場にクラウザーを押し倒す。

じゃれ合うように互いの体をまさぐりだすとクラウザーはカミュを唇同士が触れるギリギリまで引き寄せた。

「地球で俺に魔力を分けた時、体に変わった細工をしたな?」

クラウザーは聞いているようでいて確信に満ちた声色で呟く。

カミュは目を細めただけで言うつもりはないようで口で口を塞いでしまう。

クラウザーも答えが帰って来るとは思っていないのか抵抗はしない。

体液を交換するだけのような緩やかなキスにクラウザーは肢体を投げ出すようにしてボンヤリ考え事をする。

カミュに思考を巡らす余裕を与えられているのは、嫌だったら抵抗しろということなのか何かの布石なのか。

多分後者だろうがクラウザーは動かない。

人形のようになすがままのクラウザーは無表情でカミュを眺めた。

クラウザーは自分の魔力を削ってまで成そうとしている事を、カミュに御破算されるかもしれないと思いつつ好きなようにさせている。

それはカミュが何時もと違う行動による所がある。

カミュはクラウザーの体を確認するよう触りながら、最後にまだ立ち上がっていない中心に触れた。

「あ、あ…」

クラウザーから戸惑いを含んだ微かな喘ぎ声が漏れ、緩やかな愛撫に眠たそうにしていた目が見開かれた。

カミュに笑みが浮かぶ。

急性に前の棒を掴まれ後ろの穴に指を突っ込まれた。

快楽による喘ぎ声に魔力が含まれているのに驚きを隠せずカミュを睨み付ける。

しかもこの館は魔力に反応しやすい造りになっているため、共鳴し始めた事にクラウザーは眉をしかめた。

口を押さえても漏れる声にカミュは両手が塞がっているため、クラウザーの手首に噛み付いて口から引き離す。

カミュが噛みついたクラウザーの手首の傷から、一筋流れた血を舐めとり至極ご満悦だ。

もっとも声ではなく快楽により力が漏れているのだが、クラウザー自身の意志で声に力を含ませる事をする為の条件反射がカミュの琴線に触れたようで凶悪な顔つきになる。

今は少しでも魔力を消費するのはクラウザーとしては惜しい。

道理で何も契約も結ばず魔力を渡す訳だ。

逆に何か安心したような心持ちになったのはカミュの性格を知った上の気分だろうが、クラウザーはモヤモヤした言い知れない感情を怒りだと、何に対してかは解らないがそう判断した。

どうせ犯るならカミュの魔力を全て吸い取る気持ちで態と蠱惑的に口を歪める。

カミュはそれと分かった上で誘いに乗ったというよりは、それが目的だったようだ。

普段は主導権を奪い合うような交わりもクラウザーは自身から零れる魔力をカミュから補おうと夢中になっているためかかなり受け身だ。

しかし深く交わるほどクラウザーは魔力が溢れ出すのを分かっていながら強請るように腰をカミュにこすりつけた。

快楽と魔力の両方を貪っているのがありありと伺える。

クラウザーが本気で事を為す時の表情は妖艶で抗い難いものがある。

カリスマで片付けてしまうには勿体無いようなそれを見ることが出来るのはごく一部にすぎない。

見ることが出来たとしても存在しない、何故ならばクラウザーが貪り尽くしてしまうからだ。

犯るにしろ殺すにしろ一瞬でもその壮絶な絶対的な姿が見れれば満足な消滅だろう、片鱗だけでもあれほどまでに惹きつけて止まないのだから。

気付いているかは解らないが既にクラウザーから魔力の放出は無くなり、館はクラウザーの魔力により強固な要塞とかしているため何者も入る事は出来なくなっている。

深くクラウザーの密部を抉りながら、こうして独り占め出来る喜びをカミュは巧妙に、自分自身の感情ですら隠蔽してしまう。

貪るように腰を振っていたクラウザーが突然動きを止め、カミュを羽交い締めにし見慣れた余裕のある表情をしている。

もう少しでイキそうだったカミュは動きを止められ不機嫌そうに様子を伺う。

「もうちょい遊びたかったが時間だ」

いまだ妖艶にけぶる瞳で、かすれた声でクラウザーがやけに冷静に告げた。

そう言いながらクラウザーは、今だ自分の中に収まっているカミュの逸物を刺激しはじめる。

「次は貴様の根城にしてくれ」

カミュの目が細まる。

「貴様の魔力が食い放題だからな」

傲慢な命令のような言いぐさとは裏腹に表情は柔らかい。

カミュは強請るように絡みつくクラウザーの手を掴み、先ほどより激しく動きだした。

クラウザーは承諾と受け取り嬉しげな笑みを浮かべる。

基本的に笑顔の嫌いなカミュですら一瞬もっていかれそうなクラウザーの表情に苦々しい顔になった。

クラウザーだからとは思いたくはないが、クラウザーだからだとも言える。




結局時間だと言いながらしばらく楽しんだ後、ジャギがご立腹と言った様子でクラウザーの館に乗り込んできた。

締め出しをされたのだから仕方ないがクラウザーの機嫌が良かったため、纏わりついても邪険にされなかったので現金にも浮上する。

クラウザーに抱きつきながらジャギはカミュがいた気配を感じ、今は居ないカミュに文字通り邪念を送った。

カミュはジャギのそれを受け取りながら感情の伺えない何時ものイヤな笑い声を立てる。


そんなやり取りを知りつつもクラウザーはジャギを背もたれ替わりに寛ぎ、この後のひと仕事に思いを巡らせていた。








おわり。







まだ三角関係を引きずっています。

そして工口話を書こうとして失敗しました。

クラウザーさんをあんあん言わせてみたかったはずのネタだったのに撃沈。

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