短編
□切なる願い
1ページ/1ページ
右に曲がれば荊道
左に曲がれば獣道
では曲がらず手前に行けばどんな道?
一人目の挑戦者は右の道を選び、猛毒を持つ荊に刺され命を落とす
二人目の挑戦者は左の道を選び獰猛な獣に襲われ喰われる
三人目は誰もその先を知らぬ手前の道を選ぶ
傍観者は神に聞く
『手前の道はどういった道なのか』と
神は答える
『手前の道は殺戮の道…選んだものは殺戮の愉しさを覚え殺人者になる』
神の言った通り三人目は殺戮への快楽を覚え、やがて世界を震わせる連続殺人者となった
傍観者は聞く
『何故、貴女はこんな残酷な3つの道を創ったのか』と
神は答える
『人がどういった行動をするか興味があった』と
傍観者は言う
『貴女は残酷だ』と
神は言う
『残酷なのは人間達の方だ。欲の為に争い、我が与えた命を無駄にする。これは我に対する裏切りではないか』と
傍観者は口を閉ざす
神は暫く彼の方を見ていたが、やがて背を向け去って行った
傍観者は願う
いつか人間達が争いを止めることを
そして…彼女がもう一度彼らに心を開いてくれることを
彼は願う
この願いが
彼女の心に届くことを信じて...........
・