DRRR

□はせいと!
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――某日、池袋アニマート本店前。

「……遅い」

先程から何度も携帯で時間を確認しながら、ろっぴは小さく溜息を吐く。
約束の時間は1時間前。待ち人は、いまだに姿を現さない。

「絶対月ちゃん遅れると思ったから月ちゃんには30分前の集合時間を伝えたのに…これじゃ意味ないじゃないかぁ…」

ハァ、と。本日何度目かになる溜息を吐きだしていると、ろっぴの携帯が小さく震えた。

「あ、月ちゃん。」

着信は待ち人からのメールを伝える物だったらしい。
大体の内容を予想しながらメールを開封すれば、其処には案の定、とでも言うべきだろうか。予想とあまり変わらない文章が並んでいる。


From:月ちゃん
Sub:すみませんっ(>人<)

迷いました…(´;ω;`)

今東口歓楽街にいるんですが、ここからどう行けば辿りつけましたっけ…?



「何で東口歓楽街なんだよ?!」

こっの方向音痴!と思わず声をあげながら、ろっぴは素早く返信画面を立ち上げると、東口歓楽街から此方へ向かう最短ルートを打ち込んでゆく。

液晶に【送信完了】の文字が表示された事を見届けて、ろっぴは携帯をポケットへと片付けた。


◆ ◇ ◆


「あれぇ?ろっぴー?」

不意に、横から声を掛けられて、ろっぴは反射的に声のした方へと体を向けた。

「あ、狩沢姐さん!」

そこには、狩沢が不思議そうな面持ちで立っている。

「こんな所で何してるの?あ、もしかして、またつっきー待ってるの?」
「はい…今東口歓楽街にいるらしいです」

苦く笑いながら狩沢の問いへと答えれば、狩沢も「相変わらずの方向音痴だねぇ」と、軽い調子で笑んだ。
「イヤイヤ」諦めを含んだような、やや脱力した様な声で、ろっぴは告げる。

「今日はまだ近い方ですよ。池袋西口公園にいるとか言われた時はどうしてやろうかと…」
「うっわぁ…つっきーの方向音痴マジパネェ…」

呆れた様な声をあげる狩沢に、ろっぴは「もう慣れましたけどね」と、乾いた笑みを浮かべた。


◆ ◇ ◆
 

暫く、他愛のない話をしていただろうか。

フ、と。狩沢が口を開いた。

「ところでろっぴー?」
「何ですか?狩沢姐さん」

コトリと首を傾けて尋ねたろっぴに、狩沢は「前から思ってたんだけど」と前置いて、言葉を紡ぐ。

「年も大して変わらないんだからさぁ、普通に話し言葉で良いんだよ?」

しかしろっぴは、口許に笑みを浮かべながら頭(かぶり)を振った。「いえいえ」

「俺は狩沢姐さんの事を尊敬してますから、話し言葉だなんて恐れ多い」

笑みを浮かべたろっぴに、狩沢は「ホントかなぁ〜?」と、軽い調子で笑んでいる。

「あ。姐さん信用してませんね?」

「酷いですよ」と非難の声を掛けるろっぴもまた、怒った様子など欠片もなく。

二人は楽しげに笑い合っていた。


◆ ◇ ◆


「ろぴさぁーん!」

遠くから、ろっぴを呼ぶ声がする。
声の方へと目を向ければ、其処にはさんざん待った待ち人の姿。

「もぉ!月ちゃん遅ー…………」

文句を言おうと口を開いたろっぴは、しかし最後まで告げることなく口を閉ざす。
その理由は。

「すみません、ろぴさん!余裕を持って一時間前には家を出たんですけど……」

申し訳なさそうに眉を下げる月島の隣に、

「一時間前に出て、一時間半も迷ってたのかい?本当に月島君は方向音痴だね」

小さく微笑む臨也の姿があった為だ。

「どうにかして直したいとは思っているんですけど……なかなか。臨也さんに会えて良かったです!」
「お役に立てたみたいで、嬉しいよ」

にこりと満面の笑みを浮かべた月島に、臨也は照れたようにはにかみながら言葉を返している。

その様子に、小さく狩沢が声を掛けた。

「ろっぴー…これって…」
「はい、姐さん。これはまさしく……」

狩沢とろっぴの頬が緩やかに上気して行く。
そして。

「「月臨(ですね)(よね)!!」」

興奮したように、声をあげた。


――ろっぴは、所謂(いわゆる)腐男子である。

先程臨也の姿を見て固まったのは、臨也が苦手だからと云う訳ではない。
むしろ、好意を抱いている為だと言ってもよいだろう。

彼が例え裏で色々な事を手引きしている黒幕だったとしても、それはろっぴにとって彼を嫌う理由にはなり得ないのだ。

むしろ「黒幕イザイザ萌え!!」と、彼の臨也に対する萌えを増幅させるだけである。

二人は、まだ会話を続けている臨也と月島を見ながら、会話を続けて行く。

「月ちゃんどっちかって言うと草食系で気弱だから、受けっぽいですけどね」
「だがそこが良い。受けっぽい攻めもまた萌えポイントだよね」
「気弱そうに見せかけて実は…って云うのも良いですよね!たとえば月ちゃんの方向音痴はイザイザに連れて来て貰う為の策略だったりとか…」
「何それ萌える!」

キャーッと、黄色い声をあげた狩沢に、ろっぴは苦く笑いながら「でも、」と言葉を付け足した。

「まぁ、月ちゃんの方向音痴はガチですけど。…てか、じゃないと一時間待たされた俺が嫌だ」
「まぁねぇ…」

表情を歪ませたろっぴに、狩沢は笑う。確かに、あれだけ待たされて実は臨也に会う為でした、何て言われた日には、怒りで叫び出してしまうかもしれない。

(なんだそれ?!せめて一言いって行け!いや、待て。……俺もつれてけ!)

こんな感じかなぁと、怒り心頭なろっぴの、なんだか怒る意味が違う様にも見える言葉を妄想しながら、狩沢は短く声をあげた。「あ」

そうだ。

「じゃぁ、イザイザに『また迷ったのかい?』って軽く微笑まれて、眼鏡に手を掛けながらつっきーが『いえ…目的地は、臨也さん、ですから』とか笑い返したらいいんじゃないかな!」
「良いですねそれ!その時は月ちゃんに眼鏡をはずして貰ってー」

メガネキャラが眼鏡を外した瞬間はたまらないよねー
ですよねー

キャッキャ
ウフフ
アハハ

盛り上がりを見せる二人を少し離れた所から見ながら、臨也はポツリと呟いた。

「あの二人って、仲良いよねぇ」
「そうですね。…まぁ、趣味が同じですから」

苦く笑いながら返された答えに、臨也は「ふぅん?」と、首をかしげて見せる。

「同じ趣味、ねぇ?」
「アハハ…」

(同じ趣味って…アニメが好き、とかかなあ?だったら月島君も話に入って行ってもよさそうなのに…月島君とはまた違うジャンルなのかな?…あ、もしかして腐男子、とか?……うん、聞いてもないのに決めつけは駄目だね。実によくない。デリケートなジャンルらしいし、本人に聞くのも駄目だよねぇ…)

(ろぴの趣味は腐男子です、なんて言って…臨也さん、引かないかな…あ、でも言ったらろぴに怒られるかも…?取敢えずは言えない…なぁ)

――集合場所にて。


End.

(月ちゃん眼鏡外すと結構恰好いいんですよ)
(マジでか。良いねぇ、王道!で、そんなつっきーにイザイザがキュンッってなってたらハゲ萌える)
(良いですね!)
(これでつっきーが眼鏡外したら積極的になるとかドSになるとかだったら完璧だよ!)
(うぅん…残念ながら外しても視力が悪くなるだけらしいですよー。まぁ、見えない分緊張はしないらしいですけど)
(そっかー)

(ねぇ、月島君。あの二人、まだ話してるけど…良いの?かれこれ一時間位経つんじゃ…)
(あぁ…あの二人はああなっちゃうともうどうにも止められないんで…)
(そうなんだ?…じゃぁ、良かったら近くの喫茶店にでも入る?奢るよ?)
(…!良いんですか?)

(あ。見て見てろっぴー!月臨が喫茶店に行くみたいよ!)
(デートですね!後ろからこっそり付いていきましょう!姐さん)
(おー!)





+++後書き+++

設定にしろ、内容にしろ。趣味全開でごめんなさい(苦笑)

つき(+)ろぴって言うか…ろぴ+狩がメインみたいになった(遠い目)

腐男子ろっぴは素敵だと思うんですが、月島さんと一緒だとあんまり腐男子感が出ないかなぁ…とか思って狩沢さんを投入したのが間違いだったようです(苦笑)

結果。取敢えず会話をしている月島さんと臨也君に二人が萌えているだけのお話になってしまいました……

月臨ってあんまり見ませんよね。……ありかしら(笑)

ろっぴは割と人の呼び名が不安定です。
その時の気分でイザイザだったり臨也だったりします。
狩沢姐さんの事も、たまにテンションが高かったりすると「エリエリ」って呼んだりするかもしれません(え)
月島さんは大体さんづけ。たまに呼び捨てだったりします。
呼び捨てる時は丁寧語が抜けてたり。

月ろぴも素敵だとは思いますが、取敢えず我が家では二人は相棒同志です。
…単純に書けないだけなんですけど(苦笑)

さて、(特に設定的な意味で)色々と趣味に走ってやらかしていますが、少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。


2011/07**


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