DRRR

□至極当然
1ページ/2ページ

◎来神時代(勿論ねつ造)



「いただきます」

両手を合わせて、小さく呟き落された言葉に、隣に座っていた京平が口を開いた。

「おい、岸谷。まだ臨也達が来てないぞ?」
「ん?どうせまた静雄と喧嘩でもしてるんだろう?律儀に待ってたら下手するとお昼食べられなくなるよ、京平」

パクリ、と。程好く焼き目の付いた卵焼きを口に放り込みながら答えれば、京平は納得したのだろう。
「それもそうか…」と呟いて、彼もまた、両手を合わせた。

◆ ◇ ◆


どれほど時間がたっただろうか。

弁当の中身が半分ほどになった頃、勢い良く屋上の扉が開かれる。
その主に心当たりは有りつつも、礼儀的に視線を向けた二人は、ギョッとした。

扉を開けた人物が予想もしなかった人物だったからではない。
人物自体は、予想通りだったのだが、彼の表情が、いつも通りではなかったのだ。

「い、臨也?!」
「どうした、何があったんだ?!!」

慌てたように弁当を床に降ろし、腰を浮かせた二人に対して、臨也は泣きだしそうな表情を更にゆがめて、唇を戦慄かせる。

「し…しんらぁ…っ!」

泣きだしそうな声をあげて、臨也は新羅へと勢い良く抱きついた。

「え、ど、どうしたんだい?臨也」

自分の腹のあたりにある臨也の頭を撫でながら、新羅が問えば、臨也は泣きだしそうな声のままで「シズちゃんが…」と小さく口を開く。

「シズちゃんが、俺の友達感覚はおかしいって…」

その言葉に、新羅の眉が僅かに動く。

「俺…おかしいの?」

不安げに、新羅を見上げながら訪ねてくる臨也に対して、新羅はゆっくりとほほ笑んだ。

「おかしくなんてないよ」

丁度、屋上に上がってきた静雄を見やりながら、新羅は人の悪い笑みでさらに言葉を続ける。

「ちっともおかしくなんてないさ。…きっと、静雄は臨也と友達になりたくないんだよ」
「な、ちが…!!!」

思わず叫ぶような声をあげた静雄に、臨也はキョトリと首を傾げた。

「シズちゃんが俺と友達になりたがるわけないじゃないか。そんな事、言われなくても分かってるよ」
「あぁ、そうか。間違えた。違うよ臨也。静雄はきっと、友達がいないのさ」

にっこりとほほ笑む新羅に、臨也は「新羅はシズちゃんの友達じゃないのかい?」と首を傾げている。

「私は、静雄の幼馴染だよ。友達とは違うのさ。だからね、臨也」

安心させるように臨也の頭をなでながら、新羅はさらに言葉を続けた。

「友達なら、抱きつくのも、キスするのも、一緒にお風呂入るのも、一緒の布団で寝るのも当然さ!!!

効果音を付けるとするなら、『ドーン』と云うのが効果的だろうか。
胸を張りながら、ドヤ顔で告げる新羅に、臨也の表情が僅かに緩む。

「イヤイヤイヤ!!おかしいだろ?!おかしいよな?門田!」

同意を求める様に京平を見やる静雄に、京平は小さく頷いた。

「臨也…それは友達とする事じゃないぞ…」

ゆっくりと、諭す様に言葉を零しながら、京平は心中で小さく思う。

ちらほらと恋人に対してする様な事が混ざっている気がするぞ…?と。

「京平」

新羅が、京平に向けて咎めるような視線を投げた。

「門田」

静雄は、矢張り自分は間違っていないよな、と、ホッとした様な表情を見せている。

「ドタチン……」

やっぱり俺、おかしいのかな…と、臨也は不安げな表情を零した。

「………っく、…友達にする事じゃない……親友にする事だ!!」
「流石京平!」

ヤケクソ気味に叫んだ京平の言葉に、ぱ。と、新羅の表情に明るさが灯る。
今まで京平に向けられていたとげのある視線が、すぐさま引っ込められた。

「しんゆう……?」

言葉の意味を咀嚼するように、ゆっくりと呟く臨也に、何処か疲れた様な溜息をつきながら、京平は「誰でも彼でも、友達だからってできる事じゃないだろう?」とその頭に手を伸ばす。

「そっか…新羅とセルティは…俺の親友、で、良いのかな?」
「勿論だよ、臨也」

安心したように笑みを零した臨也に、満面の笑みを浮かべて新羅は臨也のつむじに唇を落とした。

至極当然。
(君と僕は友達だろう?だから、何もおかしなことはないんだよ。臨也)

「門田……」
「悪いな静雄。父親と云う物は、娘の涙には弱いんだ…(遠い目)」
「……(この親バカめ……!!)」

「そう言えば臨也、セルティが、近々泊りに来ないかって言ってたよ」
「え、良いの?」
「勿論さ。一緒にお風呂に入りたい、とも言ってたよ」
「え…ぁ…それは、ちょっと恥ずかしい、かな…」
「馬鹿だなぁ、臨也。親友だろ?恥ずかしがる事なんてなに一つないじゃないか」
「そ、そうかな?」
「そうだとも(笑顔)」


「ちょっと待て岸谷ィィィィイイ!!!」

End.

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ