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□ゲームで臨也君があまりにも(略)
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「やぁ、いらっしゃい。狩沢」
ニコリと、いつもとは違う種類の笑みを浮かべて、イザイザが私を家へとあげる。
今日のイザイザの笑みは、なんだか黒幕っぽいなーなんて、のんびり考えていたあの時の私を、思いきり殴りつけたい。
イザイザが、私にあんな笑みを浮かべる事なんて、そうそう無い事なのに。
のんきに黒幕イザイザの笑顔は艶っぽいよねーなんて、萌えてる場合じゃなかった。
◆ ◇ ◆
「紅茶で良いかい?それとも、コーヒーの方が良い?」
台所に立ちながら声を掛けてきたイザイザに「紅茶で大丈夫だよぉ」と声を返す。
イザイザの淹れる紅茶は美味しい。
茶葉も良いんだろうけど、何よりも。淹れ方ひとつでこんなにも味が変わるんだって、私はイザイザの紅茶を飲んで初めて実感した。
イザイザの淹れる紅茶は、ストレートでも美味しく飲めるんだよね、私。
普段は砂糖とかガムシロ入れるんだけど。
台所から戻ってきたイザイザの手には、ほんのりと湯気を立てるティーカップが二つ。
一つを私に差し出しながら、イザイザは私の向かいに腰掛けた。
軽く息を吹きかけて湯気を追いやりながら、ティーカップに口を付ける。
「ん…あれ?今日の紅茶、ちょっと苦い?」
「あ、やっぱり苦かったかい?蒸らしてる時に少し考え事してたらうっかりいつもより30秒程茶葉をあげるの遅れちゃったんだよね…」
苦く笑うイザイザは、「飲めなさそうだったら砂糖でもいれてよ」と、シュガーポットを差し出した。
お言葉に甘えて、シュガーポットから角砂糖を一つ落とす。…うん、良い感じ。
それからしばらく、イザイザと他愛のない会話を楽しんでいただろうか。
不意に、ぐにゃりと視界が歪んだ。
「あ…れ?」
首を傾げて、目をこする。
でも、目の前の視界は変わらない。
視界がかすんで、イザイザの表情が分からない。
「狩沢さぁ…」
ゆっくりと、イザイザが席を立つ気配がする。
「ちょっと、俺に対する警戒心が無さ過ぎだよねぇ…?」
何処か人を馬鹿にした様な声色。
「さて、問題です」
楽しげに響く声は、私に向けられる事はなかった種類のものだ。
「ここにある、スーツケースはなんでしょうか」
スーツケース…なんて、さっきまであったかな…?
「ヒント1。このスーツケースの中身は空です。
ヒント2。このスーツケースのサイズは、君に合わせてあります。
ヒント3。いくら狩沢でも、本気で俺に向かってくれば逃げることくらい出来るかもしれないのに、何でそれが出来ないんでしょうか」
んー…体が動かないって言うのもあるけど……そもそも私はイザイザから逃げる気なんて端からないんだよねぇ…抵抗位はするかもだけど。
「ヒント、俺が君にお茶を渡しました」
あー…駄目だ、眠い。
体が持ち上がる感覚がする。
ぼんやりとした視界の中で、イザイザが私を見つめている。
「君はちょっと、俺に近づきすぎた。情報屋という仕事柄、あんまり人にプライベートは握られたくない物だよ。…だから、」
声はシズちゃんが嫌いそうな、作られた笑みを張り付けた様な声なのに、歪む視界の中で一瞬見えたイザイザの表情は、何故か泣き出しそうに見えた。
「さようなら。狩沢」
視界が徐々に暗くなってゆく。
ぱたん。
恐らくスーツケースが閉じられた音を聞きながら、私の意識は暗転した。
私は、気付くべきだった。
例えば、イザイザが私に対して黒幕の笑みを浮かべていた事とか。
例えば、いつもだったら紅茶を入れるのに失敗したと思ったら入れ直してくれるのに、今回は砂糖で味を誤魔化して飲んでくれと言われた事とか。
まるで苦い事が最初から分かってるかのように、初めからシュガーポットがテーブルの上に出て居た事とか。
違和感はいくらでもあったのに。
嗚呼。願わくば――目が覚めても、イザイザがそこに居てくれますように。
傍に居て。
(いくらでも嵌めてくれて構わない。それくらいじゃ私は傷つかない。だから、どうか)
ゲームでヨシヨシがあまりにも薬盛られるので、かっとなって絵理華様に盛ってみた。
結果。ちょっと絵理華様が乙女になってシリアスっぽくなった(え)
臨也君、本気でヨシヨシに薬盛り過ぎだと思う(笑)
あのエンディングはねぇよ…(苦笑)
いや、ヨシヨシあんまり気にしてなさそうだけど(笑)