【 点 心 】

□4.腕時計
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『おはようっっ、ナミすわぁ〜んvv』


『あら、サンジ君。おはよ』


『夏休み中、オレに逢えなくて寂しくなかったかい?』


『全然』

ナミはニッコリ笑ってばっさりと切り捨てるように言った。


『またまたぁ、ナミさんてば照れちゃって』

サンジは全く堪えてない様子で笑顔を向けた。


『ほら、バカな事言ってないで、教室行きなさいよ。遅刻するわよ?』


『はーいっ。じゃ、また放課後に』


『はいはい。あー、また久々にあのメンバーと顔合わせなきゃならないのねぇ』

大げさに溜息をつきながら、ナミの目は笑っていた。







西日が差し込む小さな部屋の入口には[生徒会室]と書かれた古ぼけた看板が掲げられている。


その部屋の片隅で、サンジは皆が来るのを待ち構えていた。


『あら、早いわね、サンジ君』


『ちょっと、ナミさんに話があってね』

サンジがちょっとはにかむように言った。


書類を整理しながら、ナミは顔も上げずに言う。

『なぁに?お金なら貸さないわよ。あ、利子によっては相談に応じるけど』


『いや、金の話じゃなくて。ちょっと質問』


『何?』


『あなたにとって腕時計って何ですか?』


『腕時計?』

ナミは漸く顔を上げた。


『そう』


『プレゼントでもしてくれるの?ブランド物なら貰うわよ?』

ニッコリ笑うナミに、サンジは苦笑しながら答える。

『いや、そうじゃなくて‥‥ちょっとした心理テストさぁ』


『ふぅん‥そうねぇ。時間見る為の物かな』


『それだけ?』


『それだけ。他に何の役に立つのよ』


余りにナミらしい答えにサンジは思わず笑った。


『何よ。そんなに可笑しい?で、その心理テストで何が分かる訳?』


『いや、実はね…』


サンジの答えにナミは
『なーんだ、そんな事…』
と鼻で笑ったが、生徒会の面々にもこの心理テストをしてみようというサンジの提案には興味深々の様子だった。







『あ、ビビ!ちょっと質問があるんだけど、いい?』


『何ですか?』


『ビビにとって腕時計って何?』


『ビビちゃん、いっつも高級そうなのつけてるよなぁ。さすがお嬢様』


『いやだわ、これ古い物なんですよ。そうですね。宝物‥‥お守りみたいな物かしら。これ、母の形見なんですよ』


『そうだったのかー』


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