勇者文章

□免罪符
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あれ?
一瞬さらけ出された槍崎の身体は、この間見たものと違って普通のバランスのいいものだった。
筋肉隆々の体でもなかったし、熊と闘ったかのような傷もなかった。
ところどころにあった赤い斑点が気になったくらいで。

「わかっただろ」
相変わらず、鋼野はニヤニヤしながら言う。
「えーと、あの、どういうこと?」
わけわからないオレは槍崎の方を見る。

「い、今のはアレじゃ、たて君。…、ま、魔法じゃよ、うん」
なんだか、目が泳いでるんですけど。
「魔法って、なにが?」
「なにがって、つまり今わしは魔法で自分の体が貧相に見えるようにしとるんじゃ」
「なんのために?」
「へ。なんのためにって、それは…その…」
なんかこの人って、いじめがいあるかも。
じゃなくって。
オレはまったく口出ししない鋼野をチラっと見る。

「まあ、だいたい察しただろ。こいつは妙な手品でおまえにマッチョな体を見せただけだ」
鋼野は相変わらずニヤついている。
おもしろくってしょうがないという感じだ。
だがなんとなくわかった。
確かにあの時、妙に不自然に脱いだし。

「違うんじゃ!あっちが本当のわしで、こっちが偽者なのっ!」
あんたは二人いるんですか?
「じゃあ、もう一回脱いでもらえます?魔法の効果消して」

「だ、だめじゃ。今日は準備してきてないし…」
なんの準備だよ。
自ら暴露してるじゃん。
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