勇者文章

□チャームの魔法
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あの鋼野の類友、自称大賢者が来てもうだいぶたつ。
まあ、鋼野と違ってあまり害はないからそれはいいんだけど。
ツッコミどころは多いけどなー。

というか、オレあの人に二度ほどお礼言いそびれてるんだよな。

一度は、初めて会った時。
カツアゲされかけたオレを助けてくれた。
でも鋼野並の怪しさ大爆発の格好に、かかわり合いたくなくて逃げ出してしまった…。

もう一度は以前風邪ひいて寝込んだ時に、なぜか鋼野に言われて見舞いにきた槍崎にバファロン飲ませてもらったし。
正確には食べさせられたんだけど。
おかげで熱下がったし。
窓は開けっ放しにされたけどさ…。

まあ、あの時はお礼言いたくても声がでなかったけどな。

などと、つらつら考えながらぼけーっと歩いていたのが悪かったのだろうか?



「おい、ちょっと待てよ」
声をかけられて振り向くと、いかにもガラの悪そうな二人組。

えーと、これってやっぱアレ?

「よォ、兄ちゃん。俺らさあ、今金なくて困ってんのよ。貸してくれない?」

やっぱカツアゲかよー。
つーか絶対返してなんかくれないだろ!
なんでオレってこう絡まれやすいんだろう。

「あ、あのオレ、今日はサイフ忘れて…」
これはマジ。
今日は別に必要ないと思って置いてきたんだ。
だからもうあきらめて。

「ああ、ヘタな嘘ついてんじゃねえよ。」
「う、うそなんかじゃ…」
本当だって。
「それならカバン見せてみろよ」
「ちょっ…」
一人がオレのカバンを取り上げようとするのを必死に押さえる。
そりゃ見られたって財布は入ってないけど、やっぱカバンの中身なんて見られたくないし。
べ、別にヘンなもんは入ってないって!
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