02/20の日記

02:27
復活:悪魔だなんて思ってない(パラレル)
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※SSの「悪魔なんて呼ばないで」の続編。多分前の読まなくても平気。






悪魔と忌み嫌われたオレに生け贄として捧げられた人間は………とてもとても生け贄のようには見えなかった。


「ベットが固い。君の分のがまだ柔らかいから代えなよ。」

「今日ロールキャベツ?僕ハンバーグがいいから作って。今からだよ。」

「なんか退屈。ねぇ、裸で変な踊りでもしてみなよ。つまんなくても笑ってあげるよ?」




「…雲雀さん?貴方オレに捧げられた側の自覚あります?何でオレが貴方の家政婦の如き働きをしなくちゃいけないんですか!!」



雲雀さんが独りぼっちだったオレの家に来て一週間。
その間生け贄とは思えない図々しさでのうのうと暮らしているこの暴君に従ってたオレは一体何をしているんだろう。

「あいつらが勝手に僕をササゲモノ扱いしてただけさ。僕は最初はここに来たら“悪魔”に殺してもらうつもりだったのに……君、額から炎が出るだけで他は人間以下の能力だもん。有効活用してあげてるんだ。感謝していいよ?」

「なんですかその上から発言!?……それに、殺してもらうとか……他殺願望者には見えないですけど?」

「いや、この世界つまらないから生まれ変わって別の世界で生きたいと思ってさ!」

生まれ変わるとか別の世界とか見た目によらず随分メルヘンな事をいう雲雀さんをうろんげに見る。
オレのその馬鹿にしたような意志が伝わったのだろう。雲雀さんが納得の行かないような顔になった。


「なにその顔…ていうか君はこの世界を嫌いじゃないの?変な風習で勝手に君みたいな弱い小動物に全ての災厄の原因を押し付けて一人にして悪魔だと罵られ……しかも余所の村から来た僕をちょうどいいみたいに生け贄にするような奴らのいる世界だよ?」

「……オレは、働かないでみんなから食料を分けてもらってるし、寧ろ感謝して……」



(やばい。泣きそう。)



雲雀さんの言ってる事は正しい。
確かに額から炎を出せるオレも異常だが、全ての異常を悪魔と決めつけ全ての災厄をそのせいにして避けて嫌う癖に神にするように捧げ物をだし……端から見たらそれらの行動は非人道的で異常だろう。

でも、オレはそんな人たちでも、恨んじゃいけない。


(…オレが、悪魔かもしれないから。)


もしかしたら、みんなの言うようにオレが無意識にみんなを苦しめてるんじゃないかと思うと怖くて仕方ない。
オレがみんなを恨んで、もしもみんな死んだりしたら……



――ポンッ


「……え?」


頭に、暖かい、手の感触。



「嘘言わなくていいよ。別に君が嫌ったって君はただの弱い人間なんだ。そんな1人間の感情で人が死ぬ訳ないじゃない。」


さも当然のように言う雲雀さん。


(何故だろう……雲雀さんがそう言うなら、本当な気がする……)



触るなと怖がられたオレに、なんの躊躇いもなく触れてきた雲雀さん。


まるで当たり前のように、悪魔と言われ続けたオレを人間だと言う雲雀さん。





「嘘じゃないです。ただ………寂しかっただけで……っ!!!」



そこから堰を切ったように、まるで子供のように泣いた。

そんなオレを優しい力で抱きしめて、頭をポンポンってしてくれた。



「僕は君に会ってここでなら生きたいと思ったよ。……ねぇ、だから君もずっと僕の隣で生きなよ。…綱吉。」


もう何年も感じていなかった人の温もりを感じながら。






オレは、やっと独りぼっち以外の世界を手に入れた。








―――――――
ツンデレで愛情表現が苦手な雲雀は実は綱吉に一目惚れ。
それまでは下らない世界にうんざりしてた。

そして雲雀はこれから一生綱吉を独占できるので一生パラダイス。
綱吉は綱吉でもう雲雀しか自分をちゃんと見てくれる人いないから自然と依存して好きになる。


歪んだハッピーエンド!


でも、二人とも凄く幸せ。

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