黒子
□君にそんな光はいらない
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誠凛との練習試合の帰りに、黒子っちと会って、話しをした。
「ダメ元でも一応マジだったんスよ―!?」
「ひっくり返しますよ」
「……すいません」
この黒子っちの謝罪が、痛かった。
彼の変わらない無表情。
だけど、真剣な謝罪だった。
黒子っちは、理解していたんだ。
(オレが本気で黒子っちを求めたことも)
(黒子っちに振られて冗談抜きに傷ついていたことも)
「……冗談スよっ」
まともに黒子っちの顔を見れないけど、少し歪んでしまったけれど、なんとか笑って言えた。
そのあとに話題を変えたくて何故消えたかを問い詰めた。
──そこで、衝撃を受けた。
「ボクはあのころバスケが嫌いだった」
そんなの知らなかった。
君はいつもバスケを好きなのだと信じて疑わなかった。
そして、そんな彼に気付けなかった自分に愕然とした。
黒子っちの事を一番見ているのはオレで
黒子っちの事を一番求めてるのはオレで
黒子っちの事を一番愛してるのはオレで
黒子っちの事を一番理解してるのはオレ…………
……そうだと、信じていたのに。
そのことは、言葉にしなくても黒子っちには伝わっていると思ってたのに……
あろうことか、オレの目の前で火神を褒めはじめた。
「…やっぱ、分かんねっスわ」
分からない分からない分からない分からない分からない!!
あんな奴に惑わされたの?黒子っち?
可哀想……可哀想な黒子っち。
──オレが、気付かせてあげなくちゃ……
でもいきなり言っても火神に洗脳されてるから届かないかもしれない。
なら、せめてオレの元へ戻ってくる道標を……
「黒子っちと火神は…いつか…決別するっスよ」
あぁ、その悲しそうな、信じてないような目。
可哀想、可哀想……
可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想オレの言葉が届かないなんて可哀想。
すると、火神がいきなり現れたかと思うと、黒子っちをどつきやがった。
瞬間、つい火神をボコボコに殴って殺しちゃいそうになったけど、そんな汚いとこ黒子っちには見せれないからなんとか堪えた。
そしたら黒子っちはいきなり消えてなんか喧嘩(?)うったりしてて……
まぁ、結果的に黒子っちとバスケが出来て楽しかったスけど。
「じゃっ、オレはそろそろ行くっスわ」
「最後に黒子っちと一緒にプレーもできたしね!」
(火神を消したら、またしようね!黒子っち!)
その言葉は、また今度にとっておいた。