黒子

□君にそんな光はいらない
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その日を境に、オレは頻繁に誠凛へと通うようになった。


勿論、黒子っちに会うため。


そして、少しでも火神から離させるため。



「黒子っち──!!遊びに来たッスよ──!!」

「……今海常も部活の時間じゃないんですか?」

「あ、オレ今日は仕事だったから学校行ってないんスよ。今は仕事帰り!」

「そうですか。でもボクは部活中ですから。何処かで待ってて下さい。」

「了解ッス!!」


たとえ部活中でもオレを見つけたら話かけてくれる黒子っちが愛しい。

そして、君は絶対に“帰れ”とは言わない。



優しい、優しい黒子っち。




ふと、気が付くとオレの周りには女子が集まっていた。

ざっと見てもどいつもこいつも黒子っちの足元にも及ばない。
オレからしたら、ジャガイモが足生やして群がってるように見える。


あ──ウザったい。

寄るなよブス共が。お前達が集まるとオレは職業柄作り笑いしなきゃなんないんだよ。それにうるさい。黒子っちのプレイに集中出来ない。


イライラする。言ってやりたい。


“寄るな不細工”

“オレは黒子っちに会いに来たんだ”

“邪魔だよ。消えろ”




………っと、我慢、我慢!
今モデル辞めたら黒子っちとのデート代やプレゼント代の稼ぎ口が無くなっちゃう。


代わりにオレは周りで集ってるジャガイモの群れに笑顔で手を振ってやった。

途端に金切り声を挙げる周り。


その声に反応して、誠凛バスケ部の人間が驚きと妬みと呆れの混ざった視線をオレに向ける。



──その中に混ざって、多少の殺意。



多分火神は無自覚なんだろうが、奴は明らかに黒子っちの事を“そう言う意味”で好いている。


(邪魔………スよ……)




オレより黒子っちの近くにいる事ですら既に万死に値する罪なのに、さらに黒子っちをそんな穢れた目で見る奴。

あぁ……どうしてやろう……


ただ殺すだけじゃ、黒子っちにオレが悪に見られてしまう。


どうすれば、黒子っちにとってオレは正義のままで…奴を消せるだろう………




急にざわざわしだした。

どうやら部活が終わったようだ。


皆部室へと向かう中の黒子っちに笑顔でヒラヒラと手を振ったら、小さい振り返してくれた。
それだけでニヤケそうになる顔。


そしてそのやりとりを睨む火神。



(ざまみろ……)





奴の悔しげな顔を見ると心が晴れるようだった。
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