07/01の日記
23:32
保神:幼子のようで(ハデアシ)
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※本誌ネタばれ注意
「あ…ごめんなさい。僕のケータイが落ちてたので拾おうと思って。」
いつもいつも、その場の空気を読むことに長けた子の口から発せられる、あまりにこの場にはふさわしくない軽い言葉。
「なんか邪魔しちゃったんならすみません……」
考えすぎなくらい人のことばかり考えて、まるでこっちの気持ちを分かってるかのような言葉をくれるこの子の口から発せられてるとは信じられない、何も考えてないような言葉。
「怒ってますか?」
完全に劣勢になったこちら側は、なんとか逃げ切った。そのかわり、子供たちと、経一の長所は、いまだに取られたままだ。
「これはかなりやばいことになったな…」
流石に三途川先生の表情も硬い。命に別状はないとはいえ、それぞれの大切な長所が完全に欠落しているのだ。
藤くんはありえないドジを踏んでぶつかったりこけたりして、いつもの落ち着きが消えている。美作くんも自分の感情のみをむき出しにして人に当たる事しかできてない。本好くんなんかはずっとぶつぶつと何かをつぶやいていてまともに会話すらできない状態だ。
そして、アシタバ君は…
「せーんせっ!!」
「うわっ…っ!」
いきなり後ろから感じた重み。振り返ればかなりの近い距離にアシタバ君の顔があった。
…こんな状態なのに、思わず跳ねた心臓が、罪悪感を生み出す。
当の抱きついてきたアシタバ君はにこにこと笑って、本当に何にも考えていない、何も心配していない。
…状況を考えようともしない、まるで幼子のような彼。
「先生ひまですか?僕ひまで、遊びたいです!」
「アシタバ君…ごめんね、今そんなことしてる場合じゃないんだよ…?」
「なんで?」
「なんでって…」
ああ、だめだ。
『思慮深さ』の欠けたアシタバ君は、欠けたというよりも戻った、の感覚に近い。
幼児退行。そんな感覚がしてならない。
「…もーいい!先生のケチ!!僕一人で遊ぶもん!」
そう言って僕に抱きついていた手を首から離して、走って保健室から出て行ってしまった。
(…首が、寒い。)
今は夏直前だ。寒いなんてある訳ない。
それなのに、ついさっきまで彼の体温と、重みを感じていた場所から消えたそれが、もう恋しい。
「逸人君何をぼけっとしてるんだ!今のアシタバ君は判断力の皆無な幼児と一緒なんだぞ!追いかけろ!」
「っは!はい!」
そうだ。今の彼はいつもと違う。
一体どういう行動をするのか全く分からない。ほっといたらどんな危ない事になるか、考えて背筋が冷えた。
「アシタバくーん!!…っはぁ。」
保健室から飛び出して、とりあえず勘で校舎を走り回ったが、アシタバ君が見つからない。
呼んでも返事もないから完全に手詰まり状態だ。
「一体どこ…へ…」
ふと、窓の外を見るとふらふらと校門に向かって歩く小さな影。
「…見つけ……っ!!!!!」
ふらふらと校門に向かう彼の遠く、一直線の道をこちら側に走っている車が見えた。
―――嫌な、予感しかしいない。
ふらふら、ふらふら。
まるで疲れた子供が、いまにも倒れてしまいそうなような、覚束ない足取り。その足は着実に校門の外へと向かっている。その距離はもうだいぶ近い。車もどんどんおおきくなる。
今、僕がいるのが2階。今から走って降りて…間に合うか?
…と、いきなりアシタバ君が、走った。
「!!!!」
車を見て、その方向に走るアシタバ君。
もう、考えたりなんかしなかった。
窓に手を掛ける。そこから身を乗り出して数瞬後に感じる足の痛みすら、今は感じない。
「アシタバく……郁!!!!!!」
――ゴォッ…!
ほんの数センチ目の前。早い勢いで通り過ぎる車。自分の体の下の、小さなぬくもり。
呆然として、だんだんと彼の表情が歪んでいく。
「う、わぁぁぁぁぁぁ…!!!せ、せぇ…っわぁぁあぁぁぁぁ!!!!」
「よかった。大丈夫。怖かったね。大丈夫。」
よほど怖かったのだろう。
僕に抱きついてわんわんと泣く彼の背中を優しく撫でてやる。
「…大丈夫。絶対に、元に戻すから。大丈夫。」
いつもいつも、他人のために神経をすり減らすこの子が心配じゃなかったといえば嘘になる。
だけど、こんなことを望んでたわけではないんだ。
(いつもの、優しすぎる君を…僕は守りたいんだ。)
僕に抱きついたまま、泣きつかれてうとうとしているアシタバ君の頭を優しく撫でて、その綺麗な髪に唇を落とした。
(大丈夫、安心させるための、キスだから。)
だから、大丈夫。
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まったく大丈夫じゃないロリコンな先生ですねあちゃちゃ^p^
リクくださったけれど、拍手に置くにはコミック派が間違ってみちゃったら危ないなと思って、こちらにあげさせてもらいました!
能力(長所)を抜き取られてしまって、アレコレなっちゃうアシタバくん、がリクだったのにぜんぜん添えてないとか本当に申し訳ないです。
あと勝手にハデアシにしてすみません!これ…もし藤アシリクだったらどうしよう…
しかし最近のホケガミ更新率が高くてうちが何サイトか分からなくなってきました^^←
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