08/08の日記
22:26
復活:その目が向く先
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ツナがボンゴレの10代目を継承してから、何年たっただろうか。
ツナが中学生の時が一番いろいろありすぎて、俺の中のツナはそのころの印象が一番強い。
中学生らしい細い体に、ひ弱な態度、低い物腰。
…残酷にやさしい、心。
「ディーノさん、今日、暇ですか?」
ツナがボスとなって、ボンゴレのあらゆることを学んで、ボンゴレの全てを管理するようになってから。ツナはこうして時々俺のところに来る。
「…いいぜ。一緒に行ってやるよ。」
「ありがとうございます。」
少し申し訳なさそうに、でもそれ以上にほっとしたように。
「じゃぁ一度車とってきます」ってボスになってから癖になってしまった、貼り付けた笑顔で一度俺の部屋を出て行くツナの後姿を眺めながらそっとため息を吐いた。
これから俺とツナが向かうのは、白蘭が生活している屋敷だ。
今から数年前、ツナたちボンゴレ10代目ファミリーが未来で戦った、マーレリングの適合者。
そいつは未来でツナに消滅させられたが、パラレルワールドの事を知らない、“ただの一般人”の白蘭だけが、何兆通りもあるパラレルワールドの中でたった一人だけ生き残っていたらしい。
能力値がツナたちが戦ってた白蘭とはえらく違うらしいが、それでも万が一再び能力が開花しらたと恐れたボンゴレは、その白蘭を未来の戦いの後、9代目の命によって管理されて生活している。
その白蘭に、ツナは10代目を就任して、その何も知らない、ツナたちと戦った白蘭と唯一つながってない白蘭が存在している事を知ってから、定期的に彼のところを尋ねるようになった。
…しかし、その時ツナは絶対に部下を連れて行くことをしない。
守護者なんかは特に白蘭に対して嫌悪感があるから、とか言ってるけど、単にツナの苦しい言い訳だと俺は思ってる。
ツナは、ただ未来で直接白蘭と戦ったやつらを、もう白蘭に関わらせたくないだけなんだ。
だから、俺。
未来のことを知ってて、でも実際戦ってなくて。
だからその男に直接思うことが少ないから。なんて俺は勝手に解釈している。たぶん間違いないだろう。
(…ツナのことだから、な。)
何年も見てきたんだ。ツナはやさしくて、でも自分にまったく構えてなくて、仕事や戦いに関しては勘がいいのに事プライベートでの、特に寄せられる好意なんてものはぜんぜん鈍い。時に見ていて悪魔かと思うような事を平然としたりするから哀れになる。
…前なんか恭弥の渾身のプロポーズを満面の笑顔でスルーしていた。その時俺はツナが悪魔に見えたぜ。
「ディーノさん、準備できました!」
「おう。」
二人で車に乗り込み、目的地へ。
このとき車内でツナは絶対に口を開かない。
ただ前を見つめて、心を殺すように、ただ運転に集中してる。(ちなみに俺には運転させてくれない。部下を連れてきてないからとか言ってた。)
俺は、そんなツナの横顔をただ眺めるだけしかできない。
「…いらっしゃい、ツナちゃん!」
「その呼び方止めてって言ってるでしょ、白蘭」
「えー、だって君たちの過去…いや、未来の事?聞いたらその時の僕って君を綱吉君って呼んでたんでしょ?それと一緒は君が嫌かなって、だからツナちゃん♪かわいいじゃん!」
「…まぁいいや。どう、調子は。」
「暇すぎるね!それ以外は快適だよ。でも海の近くにいさせてくれるのはうれしい。海って落ち着くから。」
「…そっか。」
何気ない。普通の会話。
それをテーブル一個はさんで、ツナと白蘭が行う光景は、未来の事を知ってる俺からすれあ異様で…ツナが、殺されそうで落ち着かない。
「…ディーノ君、そんなににらまないでよ。僕に穴あいちゃうよ。」
「…っ、にらんでねーよ。」
「そ?ならいいけど。」
ニコニコ、ニコニコ。
決して人のよさそうな笑顔じゃない、むしろ性格の悪そうな笑みをたたえながら、白蘭はすぐに俺から視線をはずして、ツナを見る。
「特に今困ってることとか無い?」
「ないよー!ボンゴレの人はムダに働き者だからね。」
「そっか。…じゃぁ、そろそろオレたちは行くよ。」
「もう?もっとゆっくりしていけばいいのに。何も無いけど。」
少しすねたようにいいながら、白蘭の手が無意識だろうか、左目下を擦る。奴の癖だ。
それを見るときのツナは、少しだけ顔が曇るから、その癖が俺は嫌いだ。
あと、たまに手持ち無沙汰になると足についたボンゴレの証の入った枷を弄りだす。ツナはそういった白蘭の一挙一動に表情を曇らせる。
(…なんで、ツナがそんな顔しなくちゃいけねーんだ)
「ツナ、帰ろう。」
「あ、はい。じゃぁ、白蘭。またくるよ。」
「うん。いつでもおいで。できればガードマン無しにね♪」
白蘭の言葉にツナが返事をする前にツナの成人男性とは思えない細い腕を無言で引っ張る。
勝手にガードマン扱いすんな。俺は、ただ…
…ただ、ツナの救いに、なりたいだけだ。
「ディーノさん。付き合ってくれてありがとうございます。」
「いいよ。これくらい。俺たち兄弟弟子だろう。」
「…ありがとう、ディーノさん。」
帰りの車内。ツナはこのとき、毎回、毎回、俺にお礼を言いながら、泣く。
涙は流れない。声も上げない。それでも、ツナは泣いている。
―――罪悪感につぶされて、それを受け入れ苦しんで、泣く。
過去の、未来での出来事は、結果的に生きてたとしても、ツナには大きな傷をつけたんだ。
一人の女の子と、たくさんの犠牲と、何兆にも及ぶある一人を殺してしまったと、ツナは悔いて、悔いて、一人で抱え込もうとしてるんだ。
ツナが背負わなくていいことまで。そして、それを自分の罪だと、それを忘れないようにと、せめてもの贖罪だと、ツナは白蘭に会いに行く。
意味なんて、ツナにも分かってない。それでも、できることがこれしかない。
「…ツナ、もっと近くを見ろよ。おまえは一人じゃないんだぜ。」
ありきたりなくさい台詞は、毎度ツナには届かない。
(ツナの心、いい加減返せよ…白蘭。)
未だに、ツナの心を縛りつける過去の未来に、白蘭に、そして、傍にいるのにツナを救えない自分に…怒りとやるせなさと情けなさが襲う。
「ツナ、もう過去にとどまってるなよ。お前には今がある。仲間もいるだろ。…俺だって、ここに、いるだろ。」
「……ごめんね、ディーノさん。」
ツナの視線は、ずっと前を向いている。
車の流れる風景の中、ツナは、ずっと前だけ。
心さえ、こっちには向かないんだ。
その目が向く先、それは過去の未来
(ツナ、ツナ)
(なぁ、少しでいいから、横を見てみろよ。)
(お前一人で、抱えてつぶれなくてもいいんだ。)
(どうか、お前の視線の先に、俺を入れてくれねーか?)
**************
意味なんて無い。
ただ白蘭は無邪気に今を受け入れ、ツナは過去にとらわれ、ディーノはツナを今に引き入れたくてもがいてる。
正直暗いし、CP色無い…。
でもディーノさんはツナが無意識に好きで、白蘭はツナしかほとんど関わり無いからツナが世界の中心で、ツナは白蘭に複雑な思い。
なんとか矢印を付けるなら、
ディノ→ツナ(→)←白 かな?
突発文だから矛盾点とかつっこんだら負け。
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