11/27の日記
23:58
黒子:君の事は君より知ってるんだ(赤黒)
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※黒子の記念SS内にあるケイさんへのプレゼント小説の続き。べつに前に読まなくても読めます。ヤオイで殆ど赤司独白。おk?
『宣言するよ。お前はどんなに足掻いたって最後にはオレの所に帰ってくるよ。』
(そんな事ない。僕は、もう君以外の人にだって見てもらえる。)
『違うな。お前は表面しか見てない。本当の黒子テツヤを見てるのは、オレだけだ。』
(そんなこと無い。それに、僕はもう一人でも…)
ああ、目の前の赤い髪の男の口が歪んでいく。下弦の月の形。歪みきった愉快さを隠そうともしない、その笑顔にああ、なんで僕はこんなにも身体が震えてるんだ…
『さよならだ。黒子。…お前の強がり、叶うといいな。』
【君の事は君より知ってるんだ】
中学3年。部活も引退して、本格的に受験にのめりこむ毎日。
勿論それはキセキの世代と言われた奴らにも同じように降りかかってきて…
…と、言いたいところだが、高校の方からバスケの才能を求められ、スカウトで高校へ行くから、他の奴らよりずっと楽をしている。ある一人を除いては。
「ねぇ赤司っちは、なんで黒子っちがオレらの前から消えたか知ってるっスよね?」
「ぁあ?なんだその断定的な言い方は。」
「…だって、黒子っちの事、多分一番知ってるのは赤司っちでしょう?悔しいけど。」
冬。みんなして勉強して、ぴりぴりしてる教室を出て、廊下で何の気なしに窓の外を見てると黄瀬がふらりと寄って来て、いきなりこんな話題。しかし黄瀬は本当に黒子の事見てるよな。その上客観的にも見れてる。馬鹿な癖にこんな所はちゃんと分かってて食えない奴。
「はは、黄瀬は本当に黒子が好きだなぁ〜。どうせ高校になったら試合とかであえるだろ?そんなにがっつかなくても…」
「でも、敵じゃないっスか…。それに、黒子っち、バスケ続けてくれるんスか?影が薄くてスカウトも無かった。あんなに才能あるのに、あの日から、黒子っち……っ!」
ギリ、と黄瀬の握りこぶしが力の入れすぎで白くなっているのを傍目に見ながら、黄瀬を哀れに思った。なんて大きくて一方通行な思い。はは、本当に可哀想。
「黒子がバスケをやめる訳ねーだろ。あいつにはアレしかないんだから。黒子の居場所はここにしかない。」
「…っ!」
ははは、黄瀬、なんだその顔。まるで化け物でも見たかのような顔してるぞ?
ああ、口角が上がるのが止められない。早く見たいなぁ…
―――黒子が、オレに泣きついてくるところ。
それから1年。高校生活はやっぱり順調で、オレが思ったとおりに事が進んでいる。
でも、黒子は青峰に負けたあたりでくじけてオレの所に帰ってくるかも、なんて思ったりもしたが、やっぱりオレのほれ込んだ奴は違う。しっかり立ち直って、ぬるい仲間ごっこをしている。
ずっと人に寄生し依存する事で自分の存在を知らしめてきたあいつが、だんだん一人で歩き出している。
「ああ、本当に、オレの思惑通りで楽しいよ、黒子。」
お前は、いつか孤立する。一人になる。見てもらえない一人とは違う、見られて周りに固定される孤独。今度はにげる事も立ち向かう事もできない、ただその場所を維持してもがくだけ。
そんなの、独りを嫌い、オレに抱かれてでも他人に依存してたあいつが耐えれる訳ないんだ。
(さぁ、いつになるんだろう。早く、オレの所へ帰って来いよ。)
赤司の手の中にある写真には、高校のI・Hの時に黒子の写真。奇跡的に黒子を中央に撮影されている、その写真の中では存在感のある黒子の周りにいる誠凛の選手、そして敵高の選手の顔は黒の油性ペンで顔をぐちゃぐちゃにされている。
赤司は写真の黒子の顔を、どこか寒気がするような表情で、しかしその中に隠しきれない執着と独占欲と…愛しさを含ませて見つめ、優しく撫でる。
『あ、かしく…っ!』
思い出しただけで劣情を刺激する、黒子の高い声が聞こえてくるようで、赤司はうっそりと笑った。
なぁ黒子。強がってがんばってないで。はやく、かえっておいで。
お帰り、なんて笑って黒子をもう一度この腕に抱きしめる日が、もうすぐだと思うと本当に愉快だった。
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