お題
□ピンチで10のお題
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後輩との無駄なやり取りに散々時間をくい店長に拳で殴られた。品出しをし終わった俺は清流なクーラーから暫しの別れ、灼熱の太陽へ足を踏み進めた。
「あー…怠い。あっちィ…」
曇天の隙間からしつこく放つ灼熱の光を薄い段ボールでガードしてごみ捨て場へと歩を進める。
ジワジワと背を焦がす熱さに唸りながら段ボールを括っていると、
「わうっ、わうっ」
小形の小さいつぶらな瞳が足元の段ボールを爪でかしかしっと引掻いていた。かわいい犬だな〜
「こらっ、五右衛門やめなさい!…すいませんね、此の子ったら…」
うおお、美人!飼い主と思われる女性の美しさに内心ガッツポーズをし姿の割に微妙なネーミングの五右衛門を撫でてやった。偉い、偉い。
「や、大丈夫っすよ。可愛いな〜お前」
「わうっ」
ひと吠えしたかと思うと急に駆け出す五右衛門。
「…やっぱ飼い主が一番らしいっすね」
あはは、と笑い立ち上がると顔面蒼白に口を両手で押さえ絶句して上を見る女性。…ん?なんだ…
…――ガッチャ―――ン!
「………」
目の前、鼻と爪先をほんの数mmを掠ったモノは、足元に茶色い土を撒き散らし粉々に砕け散っていた。
「…」
「…」
互いに真っ青な表情をしたまま固まる俺達。派手な音に駆け付けた後輩、
「またか、先輩の不幸体質」
そんな俺の日常。
「わぎゃぁあぁあぁ」
「だ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫です。いつもの事なので。それよりお怪我はありませんか?」
「は…はい…//」
「テメー俺を差し置いて口説いてんじゃねー!」