□蒼空と白
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何故俺達は生きているんだろう。



生物学上、その問いを持たなければ生きてけねぇと言う脳ミソの仕業か?



ああ、俺はそう思う。その問いを持つ事で道が幾筋にも別れるんだと。


もし俺が全てを陽に照らして考えたとしたら。影も明かりの一部、俺の人生は色濃く染まるかもしれない。


もし俺が全てを闇夜で包み込むとすると。世間を言いたい放題罵倒し、それでいてやる事は矛盾して。"軽い"人生であるだろう。
















―俺は佐野真嗣(サネツグ)。今年で高三だが、とても覇気の無い生活を送っている。
そりゃあ中学ん時はダチとやんちゃしたり喧嘩したりしたが、もうそんな事も無い。立派な"高校生"だ。

部活は引退し、進路や就職活動、センター試験に力を注ぐクラスメート達。

成績は普通だが、塾は通っていない。周囲や友人は塾に通い始め、それに混じらない俺は益々疎外感を食らう。

具体的な進路が決定していないのだ。漠然と人間心理で臨床心理士になりたいとは思う。だがそれに必要な費用、成績、学力、とか。

色々なものがごちゃごちゃとして面倒臭いじゃねーか。

勿論此処で面倒臭がる事は良くないと俺自身が良く分かっているのだが。

「真嗣」

机で寝そべっていた俺に話し掛けたのは高校内では貴重な友人である凛堂海斗。肩に分厚い辞書を乗せている。

「相ッ変わらずヤル気ねーな。Writeingの先生が心配してたぞ。これは課題だ」

前の席に座り、反対の手に持っていたらしい黒い点が度々書かれる紙を数枚目の前にちらつかせた。

「…怠ィんだよ。…何時迄だ」

「次回の授業。二日後だな。」

気怠い身体を起こし紙を受け取って乱雑に鞄へ押し込む。教室に貼られた紙には色とりどりな文字。

「倫理か…」

「フケるのか?」
「ああ。ノート頼むぜ」

晴天の空。こんな気持ちの良い日に勉強は勿体ねーだろ?


 
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