Novels(with G)

□矛盾
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 今、俺には好きな人がいる。相手は仲の良いグループの内の1人。最初は全然意識なんかしてなかったけれど、彼女のふとした仕草や明るい性格に自然と惹かれていった。
 でも「友達」という関係が逆に俺にとっては大きな壁で、そう簡単に壊れてくれそうもない。俺達のグループは男女混合なため、しょうがないというか何と言うかグループ内でカップル成立なんてのもある。そんな中でフリー組の俺と彼女は、よく2人で恋愛について語ったりしていた。

 ある日、またいつものようにグループで集まって飲んだ夜のこと。偶然隣同士になった俺と彼女は、いつものように恋愛について語り出した。本日のテーマ『好みのタイプ』。
「ねぇ雄二、雄二の好きなタイプってどういう人?」
「俺?…う〜ん、髪短い人はほんっとタイプだね。あとは頼りになるくらいしっかりした人…かな。」
「ふーん。」
「お前は?」
「私はねぇ…なんか物静かで、誠実そうな人好きだなぁ。」
 思わず笑ってしまった。彼女が語った「理想のタイプ像」があまりにも俺と正反対だったから。俺はグループの中でも盛り上げ役的存在で、率先してバカなことをしたりもする。とてもじゃないけど「物静か」や「誠実そう」な印象とはかけ離れた性格だった。
 酔いに任せて俺は笑った、悲しいほど。

 しばらくすると、彼女はグループの飲み会に顔を出さなくなった。
『最近忙しいんだ、ごめんね。』
そんなメールが毎回届いた。
 逢えない日が続く。今までにないほど、たまらなく逢いたい。自分が彼女に友達以上に思われてないのは充分分かってる。でもこんなもどかしい想いを抱えたまま、日々を過ごすのにはいい加減疲れた。それならばいっそ、「友達関係」さえ壊れてしまった方がマシだ。
 こうして俺は彼女に想いを告げることを決心した。
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