風唄

□1.これが日常
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 心地良い朝が来た。鳥のさえずりが私の耳をくすぐる。このままずっと眠っていたい…そう思いながらも静かに目を開け、枕元の携帯電話を掴んだ。…8時だ。…8時ぃ!!?
「やばい!!」
1人でそう叫びながら、私――佐久間六歌(むつか)は勢いよく起き上がり部屋のドアを開けた。
 そしてそのまま隣の部屋へ行き、ドアを激しく叩く。
「シュウ!!シュウ起きて!!8時だよ、8時!!」
一瞬の沈黙の後…。
「はぁっ!?何だこりゃ〜!!」
部屋の中から雄叫びが聞こえた。私の双子の片割れの柊五(しゅうご)だ。
 私とシュウはいつも一緒だった。兄達と年が離れているというのもあるけれど、何よりも私たちは性格が合うのだと思う。二卵性と言えど、私たちは顔は元より性格も良く似ているらしい。
「何だよムツ、8時って!」
「知らないよ!」
 隣り合った部屋で、それぞれ慌てて制服に着替えながら大声で言い争う。
「文句言うなら自分で起きなよ、私に頼んないでさぁ!」
「んなこと言ったって…とにかく」
同時にドアを開ける。
「「急ごう!」」
私達は勢い良く階段を駆け降りた。
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