Novels(with G)

□瞳
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 今まで付き合った女の子は必ず
『あなたの瞳が好き。』
だと言った。でも結局、
『あなたの瞳はどこを見てるのかわからない。』
と去って行った…。

「薫さーん!」
 向こうから走ってくる姿を、笑顔で向かえた。
「よぉ、美香。悪いな、呼び出したりして。」
「ううん、平気。」
 美香は僕の後輩の妹で、12歳も年下。「年齢差なんて関係ない」そう僕は思っているけれど、彼女に拒まれることだけが怖くて想いを告げられずにいた。
「どうしたの?薫さんから相談なんて珍しい…逆はいっつもだけど。」
 静かな公園。木のざわめきだけが耳に入ってくる。美香は僕の隣にちょこんと座った。
「あのな…答えられなかったら聞き流してくれよ?結構マジな悩みなんだけど…。」
彼女は頷く。
「俺…さ、今まで付き合った女の子に同じ理由でフラレてんの。最初は『薫くんの瞳が好き』とか何とか言っちゃって、でも結局『薫くんの目、どこを見つめてるのかわからない。私を見てくれてるのかわかんない。』ってみんな同じ様なこと言って離れてくんだよな。俺はちゃんとそいつらのこと想ってたのにな…どう思う?」
 この相談は半ば、美香の気持ちを探るためでもあった。美香も彼女達と同じ意見を持つのだろうか…。
「…う〜ん…私もね、薫さんの目、綺麗で好き。」
美香の「好き」の言葉ひとつで心が揺さぶられる。
「でも確かに『どこ見てるんだろ?』って思う時…あるかなぁ。」
やっぱり美香も同じなのか。でも僕は、何度同じ言葉を聞いているにも関わらず、その解決策を見つけることができずにいた。
「でもね…。」
 落ち込む僕に美香は言葉を続けた。
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