Novels(with G)
□ホンモノ
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「何で分かってくれないの!?」
「分っかんねーよ、お前の考えることなんか!」
「もう陽一のバカッ!」
俺の左頬に平手打ちが入る。「痛ってぇー。」
その場にうずくまる俺を無視して、れいかは俺の部屋を勢いよく出ていった。またか…。
俺とれいかはよくケンカをする。そもそもの原因は2人の好みが合わないこと。趣味、性格、食べ物の好み…その時毎にケンカの内容は違うけれど、きっかけはホントに些細なこと。しかし互いにムキになり、いつの間にか大声を張るほどの大ゲンカになることもあった。因みに今回の原因は『みそ汁の赤みそと白みその好み』、後から考えたら笑ってしまうような内容だ。
毎回こんなケンカのバカバカしさに気付く俺が先に折れていた。こんなことでれいかを手放すなんてできはしない。
「しょうがないな・・・折れてやるか。」
少し腫れた頬を冷やすのもそこそこに、俺はれいかの部屋へと向かった。