Novels(with G)

□プレゼント
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 人にはいつも何かしらの願望があるものだ。でもそれは必ずしも達成できるものとは限らない。俺の場合、自分の小心に負けてしまうことが多い。
 でも神様。今回のオレの願望は本当に小さなものなんだ、だからどうか…
『彼女と手をつながせて。』

 時は10月。少し肌寒くなってきて、温もりが恋しくなってくる季節だ。
 付き合い始めて1ヶ月になる俺と彼女は仲睦まじく街を歩いているけれど、その手は離れている。手をつなぐことなんてなんでもない、そう思う人もいるだろう。でも俺にとっては相当勇気のいることで、彼女に面と向かって言うわけにもいかず、ずっと悩んでいた。彼女から行動するのを待とうかとも一瞬考えたりもしたけれど、それは男としてのプライドが傷つくというもので、それだけは絶対避けようと決めた。さりげなく手を差し出すのが理想か、な。

 そんなある日、俺たちはまた街を歩いていた。今日はオレにとって特別な日、何としてでも手をつなぎたい!と朝から1人で燃えていた。
 ふと、向こうから1台の自転車がやってきて、彼女の横を通ろうとした。そして彼女が俺の方に1歩寄ったその時…!俺はついに彼女の手をとった。
 当然、彼女は驚いて俺を見上げたけれど、こっぱずかしい俺は何事もなかったように歩き続ける。その顔はきっと、真っ赤だった。
 彼女はそんな俺の心情を悟ったのだろう、何も言わずただ強く俺の手を握り締め続けた。

 10月5日、金曜日。神様、俺の願望を叶えてくれてありがとう。彼女からのプレゼントと同じ位、最高のプレゼントでした。



☆fin☆
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