短編2

□しあわせは此処にある
1ページ/1ページ




この状況は何だろう。今までこんな状況になったことがあっただろうか。いやいや、ないよ。ない。だってこの子そんなキャラじゃないもの。何?新手のなんかなの?いや、なんかって何って言われても説明できないけどさ。
(っていうより誰かこの状況を私に説明して!)


「なあ」

『はいっ!』

「…膝枕」

『えっ?』

「いいから、膝枕」


そう言って隆也は私の足を直させると横になった。…ちょっと!だから何なの!いや、別に嫌とかじゃないけども!むしろ甘える隆也なんて初めて見たから新鮮だし嬉しいっていうか可愛い…じゃなくって!何これ!何で急に膝枕を求めてきたの?隆也アンタそんなキャラじゃないでしょっ!


『…ねえ、隆也』

「なんか、落ち着く」

『……っ!(くそぅ!可愛いな!何なのこの子、いつもとキャラ全然違うじゃん!…でも可愛いな!)』


いつもと違う隆也に混乱しながらも、素直で甘えたな隆也も可愛いななんて思っちゃうけど、でもちょっと待て私!隆也がこんなことするワケないじゃん。え、何?じゃあこれは誰なの?隆也の顔をしたニセモノ?隆也の体は誰かにのっとられたとかそんな漫画みたいなアレなワケ?いやいや……でも…。


『…隆也を返せー!!』

「はっ!?」

『隆也はいつもこんなこと言ってくれないもん!ニセモノだーっ!』

「……何言ってんの?」


…あ、れ?この冷めた目線、なんか覚えがあるんだけど。あれ?


『…隆也?』

「あたりめーだろ、バカか」


あ、間違いないです。この子正真正銘私の彼氏の阿部隆也です。



『…ねえ、どうしたの?いきなり膝枕なんて』

「…ワリーかよ」

『いやっ悪くないけど!全然!いつでもバッチコイだけどね!』

「………」


あ、やめてその目。凍える!凍死しちゃう!…なんてのは冗談で、とにかく今日の隆也はおかしい。隆也と付き合ってまだそんなに立ってるワケじゃないけどこんなのは初めてだ。私がバカなこと言っても冷めた視線は送られてくるけど怒鳴らないし。あの短気な隆也が!

それに、これは会った時から感じていたことだった。今日は珍しく試合の次の日の休養日とかで部活がなくなったから会いたいなんてメールがきて、私は急いで飛んできて…って、そういえばなんかこのメールの時点でおかしい。隆也が素直に会いたいなんてありえない。だっていつもは来たきゃ来れば?とかそんな感じなのに。

とにかく、そんなメールがきて私は隆也の家にきたんだ。おばさんもおじさんもシュンちゃんもいないらしくて隆也が出迎えてくれて、そしたら私の顔を見るなりいきなりギュってされて、んで部屋に来る間も手繋いで離さなくって部屋に入ってからもずっとくっついてきてて。いや、嬉しいんだよ?嬉しいんだけど…やっぱり変だよ。いつもの隆也じゃないみたい。嬉しいけど、おかしい。


『ねえ、隆也、何かあったの?』

「……何で?」

『いや、だって…』


色々考えたけど、でもやっぱり何かあったから今日はそうなのかなって思った。でも何で?って聞かれると理由に困る。私達は恋人同士なワケだから別に理由なくくっついたって何も問題はない。私的にはいつでもウェルカムだし!でも、あの隆也だよ?

そんな葛藤を頭の中で繰り返して、そしてある不安が過ぎった。一人で考えて勝手に悩んでネガティブな方向に走るのは自分の悪いクセだってことはわかってるけど、でも隆也が遠くにいっちゃうんじゃないかってなんかそんな気がした。いや、遠くって具体的にわかんないけど…引っ越すとか、転校とか…ま、まさか……死…!


『やだっ!隆也死なないで!』

「はあっ!?」


私が涙目になって隆也の頭を抱くと隆也はそう叫んで今度はさすがに起き上がった。


『…あ、やっぱり違った?』

「ちげーよ!勝手に殺すなバカ!」

『じゃあ何でよーっ!ワケわかんないよ急に!』


ねえ、何かあったんじゃないの?何考えてんの隆也。それは私には言えないことなの?甘えん坊な隆也も可愛いけど、私はいつもみたく余裕に笑ってる隆也が好きなのに。隆也が元気ないと不安だよ。私まで悲しくなるよ。そう思ってたら自然と泣けてくる私は隆也のことが本当に好きなんだなって実感してなんだかちょっと嬉しくなった。


「……昨日の練習試合、負けたんだよ」

『…練習試合?』

「オレのミスでサヨナラ負け」

『…だから、落ち込んでたの?』

「…ワリーかよ」


そう言って隆也は拗ねたように私に背を向けて、でも頭はしっかり私の太腿に乗せて、再び横になった。…何だ、そっか、練習試合…。ほっとしたような、でも喜んじゃ隆也に失礼だよなあとか思いながらもやっぱり自然に頬が緩んでしまう。責任感もやる気も人一倍強い隆也だから、試合の結果に繋がるミスが許せなくてでも誰かに縋りたくなったのかなあ。…その相手が私なんて、嬉しいなあ。


『私でよければいつでも甘えていいよ、隆也!』

「…いや、もう絶対同じミスはしねー」

『遠慮しなくていいのにー!』

「遠慮じゃねェよ」


そう言って隆也はちょっとだけ私を振り返って、そしていつもみたいににやって余裕そうな笑みを浮かべた。


「甘えんのはお前の役目だろ?」


…そんなこと言ったら、うざいってぐらい甘えてやるんだからね。







しあわせは此処にある
(…でも)(今日くらいは)((逆もいいかも…))


--------------------------
相互サイトさま「影踏み」さまが10万打を迎えたのでお祝いにお贈りいたします\^^/
そしてぎんたまの相互なのに私がスランプのせいで振りゆめを送りつけることになってしまい申し訳ないです…!しかもリクエストとちょっとっていうか全く違う感じになっちゃったんだけどこれでも甘くなるように頑張ったつもりです><こんな駄文しか書けなくて本当に申し訳ないorz

改めてこーちゃん、10万打本当におめでとうございますっ*


お題提供:Aコース

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]