短編2

□真っ直ぐにしか、愛せない
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泉が怒ってる理由はわかってる。ノリで昼休みに私が田島の飲みかけのジュースを飲んでしまったから。いくら仲の良い友達だっていっても、私は泉の彼女なんだからそれはきっとやってはいけないことだった。今考えれば何てバカなことをしてしまったんだろう。少し前を無言で歩く泉に歩幅を合わせようと急ぎながら私は自分の軽率な行動を何度も後悔していた。


『泉っ』

「…なに」

『あの、えっと…』

「………」


私が呼び止めると泉は足を止めてチラリと私を見た。泉は田島とか浜ちゃんみたいにいつも明るいワケじゃないけど、いつもよりも更に低くて素っ気無い声に私は怯んでしまって喉まで出かけてた謝罪の言葉が引っ込んでしまった。なんて臆病なんだ。謝らなきゃダメなのに、私が悪いことしたのに。


『…えっと、ごめん』

「何で謝んの?」

『え…』

「友達なんだから別にいいだろ。それとも、謝るってことはやましいことあるからじゃねェの?」

『ち、違う!!』


泉が何を言ってるかわからなくて一瞬頭が真っ白になったけど、次の言葉に私は必死になってそう叫んだ。私が謝ったのは泉以外の人と間接キスをしてしまったことで。泉が嫌な想いをしたんじゃないかってことを謝りたかっただけで。やましいことなんて一つもない。私は泉しか見てない。今だって泉になんとか許してもらいたいってこんなに必死になってるのに。

泉は何でそんなこと言ったんだろう。悪気はなかったとしても他の人と間接キスなんてする彼女なんていらないってこと?いやでも、それ自体は友達なんだからいいって言ってたし…。本当に、いいと思ってるの?私だったら嫌だ。自分がしといてこんなこと言う権利ないかもしれないけど、でももしも泉が違う女の子と悪気はなくても間接キスなんかしたらやっぱり嫌だよ。きっと怒っちゃうと思う。
(ああ、やっぱり私最低なことをしてしまった)


俯いた私を見て泉は突然大きな溜息を吐いた。やばい、疲れるとか思わせちゃったのかな。それとも呆れてるのかな。どうしよう、どうしよう。泉に嫌われたら私生きていけない。そんなの絶対嫌だよっ!


『いずっ、』

「…悪い」

『…え?』

「別にお前に悪気はねーってわかってんのに、ただのヤキモチ。オレカッコ悪ィな」

『泉…』


罰が悪そうに眉を寄せて私から目を逸らしながらそう言った泉に何でか涙が出そうになって、それをごまかすように泉に抱きついた。ごめん、ごめんね、泉。カッコ悪くなんかないよ。だってそれだけ私のこと好きでいてくれてるってことでしょ?


『ごめんね泉。もう絶対しないからっ』

「…約束な」

『うん!約束っ!』


些細なことでヤキモチを妬く自分が嫌になったりするけど、でもその度にやっぱり泉のことが大好きなんだなって気持ちを再確認できるからヤキモチもそんなに悪いものではないのかもしれない。







真っ直ぐにしか、愛せない
(あのね、泉もしないでね?)(バーカ、するかよ)(オレがしてェのはお前だけだし)(…!)


いずみんハッピーバースデー\^^/

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