BASARA夢小説
□さいごの役目
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空が赤い。
…否、赤いのは、私?
…嗚呼、
貴方を守るために斬られたんだった。
「…おい!しっかりしろ!!」
『…もとなり…様…。』
重い瞼をひらけば、元就様が視界に広がる。
そんな悲しそうな顔をしないでください。私は駒として当然のことをしたまでなのですから。
「我を置いて死ぬことは許さぬぞ…っ!!」
『元、就…さま…。見て…くださ…ぃ、』
私は空に手を翳(かざ)した。日輪が私を視ているかのよう、きらきら輝いている。
『ほら…貴方の…好…きな、日輪が、あんなに…近くに…っ。』
「…戯言をぬかすな、今すぐ手当てを…。」
ぽたりと私の頬に落ちる雫。冷たくなっていく私の体に落ちる貴方の涙は心地よい位温かかった。
「何故…何故、我を庇った…!!我はお前を失うほうが怖いのだ…!!」
『私は…ずっ、と。貴方を、』
──お慕いしておりました。
一番伝えたかったことなのに、声が出てくれない。
元就様にこの気持ち、無事に伝わっただろうか?
その時、今までにない眠気が私を襲った。
最後の役目
最後の最後に、
貴方を守れてよかった。
元就の夢は全部切なくなっちまうんだぜ