無双夢小説

□本当に愛してた
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嗚呼、何時ぶりだろうか。
貴方の姿をみたのは。

私を見た貴方は、目を見開いていて。…やっぱり私になんか逢いたくなかったのね。



『…お久しぶりね、呂尚。今は"太公望"だっけ。』

「…呂尚のままでよい。」



そういったまま後ろを向いてしまった。そんな所は昔から変わってないのね。



「用件をきこう。」

『…貴方、と、よりを戻したいの…。』



私の一言で部屋の空気が張り詰めたのがわかる。貴方は黙ったまま。



パシャ

呂尚はかめに入っていた水を私の目の前に零して見せた。



「貴公の目の前に零れた水、元に戻すことができればよりを戻そう。できなくばお帰り願おう。」
『………。』



目の前の水。
…否、目の前の水は泥水と変わり果てていた。

これを元通りなんて無理な話しだけど、と、私はそっと泥水を掬ってみる。

指と指の間から濁った水が零れ落ちてゆく。



『…ふふ、昔から頭がよくきれること。』

「悪いが私には愛する女性がいるのでな。…その泥水が水に戻らないように私達も元には戻らぬ。」

『…そう。』



無理いってごめんなさい、そう呟いた私は早々に部屋を出ようとしたとき。

聞こえた、貴方の声。



「    」



私は聞こえない振りをしてその場を後にした。










頬を伝う涙は流れ落ちたまま。誰も拭う人はいない。

…私って、本当に最低。



してた

最後に貴方が零した言葉。

(今更ごめんね、呂尚。)





私も、本当に愛してた。



運命共同体”の別ver
この史実(あまり詳しくは知りませんが)を知ったときはなんだか複雑な気持ちになりました

というか、『覆水盆に返らず』の言葉の産み親が太公望だときいたときは驚いた(笑)

書物ばかり読んでいた呂尚と絶縁してしまった。後に呂尚は太公望と名を変え、そして再縁を求める奥さん。

…絶対財産とか目当てなry





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