□おしえてやる
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する、と長くてキレイな指が俺の髪に触れる

副長の視線は
俺を凝、と捉えたまま


何がしたいんだ?
流石に是は居心地が悪い



「あの、副長?」
「山崎可愛い」

「え?はい?」


指は耳をなぞり首筋を撫で隊服の釦を外す


「ちょ、何すんですかッ」


慌てて背を向ければ
ガシッ、と捕まえられる

逃げられない蜘蛛の糸


(男同士でこんなの変だ)
過るのは常識と恐怖


その間にも高められる躰


「やッ、いやです‥副長」
「山崎、テメェは誰のもんだ?」


理不尽な問い掛け

俺は俺のもんに決まってる

「教えてやる」俺んだよ

耳朶を這う舌ごと
低くて甘い声が届く


厭だ…ッ、気持ち悪い


なのに、躰は反応している


「好い顔…」
「からかわんで‥下さ…ッうぁ…」


確信に触れられ
溢れて仕舞う


「なあ退は誰のモノ?」

甘ったるい…
副長はこんな声も出せるんだ

女のこにでも云ってやれば好いのに
なんで俺なの?

ぼう、とする頭の隅で考える


抗議する様に振り返れば
あまりにも優しげな眼差し


とくり、
鳩尾の上辺りに有り得ない違和感



「答えろよ」
「俺は、」

視線で催促される

「…俺を愛して…んッ、くれる人のもんです…ッ、はっ…」


ならば俺だと無理矢理に躰を開かれ

抵抗虚しく補食される



絡まる糸の不快な心地好さに山崎は
ぐずぐず、と飲み込まれて行った






おしまい

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