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□おとなしく
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山崎が屯所の台所で
ご丁寧にも割烹着なんかを着けて


なにやら
鼻歌交じりにしているので


「オイ、」と声を掛けた



すれば
素晴らしい笑顔で


「おはようございます副長」
と返って来たので



有りもしない新婚生活などを妄想して

俺は目を逸らす




「お前、何してんだよ」
「副長徹夜だったでしょう?」

そろそろ、腹も減る頃合いだと思って


だなんて
その顔には薄く隈



ああ、
昨夜の気配はやはり山崎



「あと少しで出来ますからね」

「お、おう…」



労りの言葉を飲み込んで
山崎の後ろ姿を眺める



何だっていうだ

むくり、
山崎の背中に奸な感情




「なあ…」


肩に手を置き
耳に息の掛かる距離


態と甘くて低い声を出す


何時もの退ならば
力ない抵抗で


躰を任せてくれる遣り方




ぴくり、肩が揺れる



「火ィ使ってるんで」
「あ、ああ…悪ィ」

「お茶煎れますね」



にこり、笑う山崎が
不覚にも母親の様で


おとなしく椅子を引いた








КΦNЕС



「くくくっ、副長可笑しい」



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