短編集


□爪の先まであいしてる
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「はい、明日はなんの日ですか?」


新八君や神楽ちゃん、定春さえいないこの万事屋は珍しい



「明日?」


ふと時計を見ると
明日まであと10分もない



んー…っと考えるフリをするけど

忘れる訳ないじゃない



だって愛してる人の誕生日だもん



「ま、まさか……覚えてないとかなしだからね!? ホント冗談きついわー」


なんて堅笑いで言う銀ちゃんが可愛くて


もっともっと虐めたくなって



んー…っと更に考え込んでいるフリをする



そしたら「え、マジ?」とやたらと真剣な声色で言うから



ぶはっと吹きだしてしまった。



私のその態度で今までの事が小芝居だと分かった銀ちゃんは
むっと顔をしかめて


ソファに私を押し倒す


ビックリして目を丸くしながら
銀ちゃんを見ると


チュッと唇を奪われて一言









「爪の先まで愛してやるよ」






普段はやる気のない目が
怪しく光って、私を離さない




「おおおお誕生日おめでとう!」





日付はいつの間にか10月10日



愛してるよ、銀ちゃん
っと私が言うと銀ちゃんは目を細めて

俺は爪の先まで愛してるよ
っと言って私にキスをする




その言葉に私は目を細めながら
彼のキスに応えた




今年も愛してると告げられた事に
感謝しながら、
来年もまたアナタに愛してると告げられることを祈って






私は今日も爪の先まで愛してくれる
彼の愛を受け止める




end

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