蒼の民の血と共に
□V.やどや
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シオンが二人と会ったのは、診察の帰りだった。
そのため、現在持っているいくつか量の少ないものがある。
他にもこれから必要になるであろう薬草を数種思い浮かべ深々とため息をつく。
明らかに手持ちの資金ではそろえられそうにない。
どうにかして路銀を稼がなければならないが、明日のことは明日考えることにして作業を終了した。
そこでようやく、寝台に腰掛けていたはずのリィの姿がないことに気がついた。
どうやら部屋の隅のほうでウォルと話し込んでいるらしい。
「まあ、リィったら。どうしてそんなところに座っているの?」
女の声に、男と少女は顔を合わせてクスクスと笑う。
突然笑われてしまっていい気のするものではない。
シオンは少し不満そうな顔をした後、二人に背を向けて寝台へ横たわった。
それを見たリィがあからさまに安堵のため息をついたのはいうまでもない。