蒼の民の血と共に

□V.やどや
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結局、シオンは彼らと一緒に旅をすることになった。
目的地が同じ場所である以上行動を共にしたほうがかえって安全であろうという考えだ。
リィに様々な常識を教えつつ進む道は楽しいものだった。

「そういえばシオンは通行証を持っているのか?」
「いいえ。ウォルは?」
「当然持っていない」

こうも堂々と返事をされてしまえば呆れるしかない。

「それにリィの身元をどう説明したらいいのか見当もつかないしな」
「うーん、兄弟ってことじゃダメかな」
「かなり無理があるな」
「いっそ親子って言ってしまったほうがしっくりくるわね」
「いや、それも無理があるだろう」

三人はああでもないこうでもないと言いながら歩いていた。
そもそも少女がどの階層に位置するのか分からない。
しかも考えれば考えるほど分からなくなるのだからたちが悪い。
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