いつか
□第一話
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気がつけば見渡す限り森だった。
あれ、なんかおかしいぞ?
私の記憶に間違いがなければほんのついさっきまで不思議な立て看板の前に立っていたはず。
そして自慢になるけど私の記憶が間違っていたことは今まで一度もない。
そして記憶と自分の格好との相違に気がつく。
先程までは小学生の象徴でもあるランドセルを背負っていたのだが、いつの間にかその背中にはナップザックが背負われている。
私が家庭科の実習で作ったような歪な物ではなく、既製品のようなしっかりとした物だ。
よくよく見れば服装も微妙に違う。
しばらくこの現象の不可思議さに首をかしげていたが、考えても分からないものはしかたがないと受け入れる。
と同時に現状を確認することにする。
まず周りを見渡す。うん、相変わらず森だ。
持ち物の確認。背負っていたナップザックをおろし手を突っ込む。
「こ、これは」
とりあえず手に触れたので引っ張り出した物を見て私は今日この場所に来て始めての声を上げた。