とりかえばや

□No.1
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朝。

彼は誰よりも早く登校する。


風紀委員すらいない校舎の中をゆっくりと教室に向かって歩く。
自分の席に鞄を置き教室の中の目立つごみを拾ってから再び外に出る。
そのまま真っ直ぐ花壇に向かい、一つ一つの草花に触れながら丁寧に水をやり雑草を抜いてやる。
それがすむと今度は飼育小屋に行き中の動物や鳥と戯れながら清掃および餌やり。
これで今日の作業は終了。


汗など少しも浮いていないのに額を拭うような動作をし爽やかな笑みを浮かべる少年‐‐倉沢 巧13歳。
緑化委員・飼育委員の仕事を完全に横取りしている彼は1Aの頼れる委員長だ。
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