蒼の民の血と共に

□W.わかれ
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折り良くビルグナへ向かうと言う商人の二人連れに同行させてもらうことになった。
彼らは気さくで、道中の会話に困ることはなかった。

「へえ、コーラルに家族がね。そりゃあ心配だね」
「ええ、それにしてもデルフィニアに戻るのは本当に久しぶり」
「おや? そう言えばお嬢さんはどちらから来たのかな」
「ラノスラと言う国です」

そんなことを言いながら、さっき別れた二人にはこういう話はしていなかったなと思い出す。
特にウォルとはもっといろいろと話をしたかった。
お互いの変わってしまった環境のこととかも。



会話を楽しみつつのんびりと歩いてちょうど五日。
ビルグナに無事たどり着いた。

「ここまでありがとうございました。これ、少ないですけど」

少量の硬貨と薬を渡す。
二人はありがとうと笑いながら受けとる。

「私たちはこのままパラスとに戻るよ。王様が帰ってきたらしくて、しばらく荒れそうだからねえ」
「しかも今、ビルグナにいるようだよ」
「まあ」

シオンは驚きの声を上げる。
王様が帰ってきたことではなく、今ビルグナにいることについて。

「真っ直ぐコーラルへ向かうと言ってなかったかしら」
「ん? どうかしたかい」
「いいえ、ありがとうございました。またお会いできるといいですね」
「まったくだ。楽しかったよ。元気でなお嬢ちゃん」

短い旅を共にした二人連れに別れを告げると、シオンは砦へと歩みを進めた。
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